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詩集 想箱  作者: TiLA
19/30

明けの明星


変な時間に目が覚めて

何気にカーテンを開いてみる


夜明け前の夜の街

灯りが星のように煌めいていた


その上 月もなく蒼みがかった空には

金星だけが輝いて見えた


孤独にぽつんと


窓ガラスに息を吐き

何気に愛という字を書いてみる


心は七番目だった


やがて蒼が青になり水色から茜色の

グラデーションが

もうすぐ夜が明けると教えてくれる


ふと空を見上げると

金星はもう見えなくなっていた


見えないものでもあるんだよ

そう言ったのはたしか

金子みすゞ だったろうか


街の灯りの一つ一つにも

そこで暮らす人々の大切なものが

きっと息づいているのだろう


コーヒーを淹れていると

急に部屋の中が明るくなった

もう一度外を眺めると


街の灯りはもう見えなくなっており

暗い影のシルエットだけの建物たちが

やがて顔を出した朝陽によって

オレンジ色に染められていった


大切なものは目に見えないんだよ

そう言ったのはたしか

サン=テグジュペリ だったろうか


一羽の鳥が空を飛び去っていった


窓ガラスに書いた愛の字は

もう見えなくなっていた


たしか心は真ん中だった



お読みくださりありがとうございます。

「七番目」というのは書き順のことで「真ん中」は位置のことです。

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