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死んで、レラ  作者: えとう えと
第一章
6/16

5時 この時間に起きると二度寝は絶対


 男たちは連れ去った少女を乗せて車で地下駐車場に入って行った。と言っても実際に少女を連れ去ったのは男たちではなくこの車内では唯一の女だった。


 車が停車すると女は車から降りる。


「仕事は終わった。私はこれで失礼する」


「ああ、金の方は振り込んでおく」


 男は女にそう返して女が去っていくのを見る。


「いやー凄いな、あの女。俺異能って初めて見ましたよ」


 女が見えなくなったあとこの車内では最年少の男が口を開く。男は組織に入ったばかりの新入りであった。今回の上からの依頼は本来なら新入りが任される者ではなかったが実力が見込まれていたこの男は新入りでありながら参加していた。


「そうかお前は見た事ないのか?こんな仕事やってて見たことない奴いるんだな」


 今の口ぶりからして本当に知らないようだ。


「だが、あそこまで凄いのはほんの一部なんじゃないか?」


「俺もあそこまでのは見た事ない」


 意外と無知なところがあると思ったが、他の男たちは新入りの男を認めていた。だからこそ上下関係が厳しい組織でありながらも普通に接していた。


 そして、先ほどの女について話をしていく中でどんどん下世話な話に移っていく。だがそれもこの男だらけの空間にいたら仕方ない事なのかもしれない。


 それから少しして時計を見たリーダー格の男が皆に声をかける。


「そろそろだ」


 その言葉に他の男たちも気持ちを引き締め返事をした。
















 KHMホテル。この組織の所有しているホテルであるが今は一般には解放されてなかった。


 今夜、此処にある宴会場にて組織内での有力者は招待されていた。


 関係者以外いないとはいえ組織の者たちが一堂に会するのが普段一般の人間が出入りする建物とはこの組織の底が知れてしまいそうではあるが。


 宴会場は何とも悪趣味で真っ黒な壁に真っ赤な鉄の格子がドーム状になった壁や天井に張り巡らされていた。


 だがそんなことを気にするものは誰もいなく人々は優雅にワイングラスを揺らしている。


 そしてその中の一人、レイ・ミュリスは下からの報告に満足して笑顔を浮かべていた。これでサプライズは成功する。彼の気性は荒く近づきたがる人は少ないが何も知らない第三者が今の彼を見ればとても温厚な紳士にでも見えるだろう。


 だがそれも仕方ないとも言えた。何故ならサプライズとは即ち噂の王子()の事であり、報告では車から逃げ出した彼女を確保したと言う。レイは態々高い金を出しただけあったと思い、これだけの働きをした女を心の中で労うという普段では考えられない様な行動をとる。


 そんな彼の顔は笑顔のつもりか気持ち悪く歪んでいるので普段よりも人を寄せ付けていない。


 そうこうしている内に老人たちが壇上に現れる。老人たちは謝辞を述べていく。


 そんな中やはりレイは気持ち悪い笑顔を浮かべていた。目立たない様に入ってきた部下たちを見てさらに笑みを深める。荷台に箱を乗せ隅の方へ向かい壁に立っているのを確認する。女子高生が入るには些か小さいかと思われる箱に疑問が湧くが次の瞬間には気持ち悪い笑みに上書きされていた。

















 黒髪少女たちを乗せた車は迷わず最短距離で目的地へと向かっていた。ちなみに信号も全て無視している。


「――ッ……止まった!」


 黒髪の少女は顔を上げて携帯を取り出しマップを開く。マップを見ながら自分の感覚と擦り合わせていく。


「サラ!このホテルに向かって!」


「わかりました!」


 明確な目的地が判明し道路から外れ、道なき道を走り出す。斜めに突っ切った方がいい場所はそのまま突っ込みショートカットをし、車が入らないであろう路地では車体を傾けて無理やり通る。


 既にワンボックスから乗り換えているためサラの技術があれば多少の無茶はできる。


 とにかく今はレラに追いつくことだけを願って車を飛ばした。

















 小さい頃聞いたお話には王子様のことも詳しく描かれていた。後で絵本を見た時にこんなに情報が少ないのかと驚いた記憶がある。









 ――王子はシンデレラのことを知ろうと思いましたがシンデレラは逃げてしまいました。



 王子には優秀な召使い(メイド)が二人いました。


 王子は彼女たちにシンデレラを探させました。


 片方の召使いは馬車の達人でした。彼女の馬車は鳥よりも速いスピードで走りシンデレラを探しました。


 もう一人の召使いは武道の達人でした。彼女はシンデレラを探している最中に襲いかかってくる悪い人たちから王子を守りました。


 ですがシンデレラは見つかりませんでした。
















 身を覚ますとそこには知らない天井がある訳でもなく唯の暗闇だった。どうやら体育座りの様な体勢になっているようで体の至る所が痛い。


 遠くで男たちの声が聞こえる。談笑している様だ。多分箱のような物の中に入っているんだろうけど抜け出そうにも結構頑丈そうだし、出れたとしても直ぐに見つかってしまう。


 ……どうしよう?と言うか何でこんなところに入れられてるのかなぁ?アレかな?出荷されるのかな?美味しく食べられちゃうのかなぁ?でもでも、人間の肉って美味しくないよね?大丈夫だよね?


 今思えばあの車の中の人私のこと事故から守ってくれてたようだし良い人だったのかも。なんか私に危険を感じて車で逃げてくれたとか。


 なら逃げなかった方がよかったかもしれない。外にいた女の人は酷いことしてきたし多分本当に守ってくれてたのなら大人しくしてれば……


 そうなことを考えていた時、ふと謎の横からの力に襲われる。なんか酔そうなような感じだ。


 ――はっ!?わかったぞ!やはり私は天才だ。ジーニ……じーに……英語で天才って何で言うんだっけ?


 いや、そんなことよりこの横からの力は慣性だ。と言う事はつまり……移動している!?


 しかもこの揺れ的に台車とかで。


 ど、どどどうしよう?


 私はもちろん天才だけど限度がある。なんかさっきと違う揺れを感じるし。エレベーターかな?そんな感じがする。


 また台車は走り出したようだけど。


 ん?なんか急に騒がしく。


 い、いや大丈夫だ。私は天才。ジーニ……そう、ジーニだ!


 大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。


『では、レイ・ミュリス君からのサプライズ。噂の王子()様だ!』


 いきなり真横でマイクで拡張させた音と入ってきた光で驚き思わず箱から飛び出るように起き上がる。


「私はジーニだぁぁぁぁああああ!!!!!」


 いきなり光が入ってきて叫んでしまった。そして段々と光に慣れた目には静まり返ったワインを持った怖い人たちが映っていた。

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