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死んで、レラ  作者: えとう えと
第一章
4/16

3時 黒馬に乗った王子様


 昔一度だけお母さんが私と同じくらいの歳の子を連れてきた事があった。


 その子の黒髪はとても綺麗でサラサラだったのを覚えている。思わず綺麗だと言ったら私のこの髪も褒めてくれた。子供だったこともあってかすぐに仲良くなった。一緒にゲームをしたりおやつを食べたりした。


「しんでれらが聞きたい!」


 そしていつもの様にそう強請った。母はその子にそれでも良いかと聞いた後話し始めた。









 ――お城では王様が祝祭の命令を出したとの知らせがシンデレラの元にも伝わってきました。その祝祭は3日続くものとし、王子が花嫁を選ぶため国の美しい若い娘は全員招待されるというものでした。


 シンデレラは自分も行ってみたいと思いました。


 そこで何かないかと考えました。


 そして手に持っているメイド服を見て思いつきました。








「この次はねえ、お城に行くんだよ!」


 当時の私は同い年の友達がいなかったこともあり、あまり精神が発達していなかった。だから、先の展開をばらして黒髪の子の興味をひこうとした。


「私も知ってるよ、シンデレラはジャパニーズニンジャの末裔だからお城に潜入するんでしょ」


「あなたも知ってるの!?」


 当時の私はこれまた同年代の友達がいなかったこともあってシンデレラの知名度を知らなかった。そして、今思えばこの子も言動から察するに母にこの話をしてもらっていたのだろう。


「うん、先生が話してくれたから」


 先生――これは母の事だろう。当時は勝手に幼稚園とかで聞いたのかとも思っていたが。


 でも、母が先生と呼ばれているのは知らなかった。教員ではないようだったけれど。よく考えてみると母の職業は何だったのだろうか。








 ――シンデレラはメイドのフリをしてお城に侵入すると悪い人たちを手裏剣で倒しました。


 そしてシンデレラが王子を一目見ようと会場に入ると一際目立つ女性がいました。


 女性はこちらに寄ってくると私と踊らないかと聞いてきました。そして女性は自分が王子だと言いました。シンデレラはおどろきましたが、それに頷き夕方まで踊りました。
















 家に帰ってきてしまえばあまりすることもなくベットに転がる。かなえが居たからかろうじて外でカフェに入ったりしているがそれがなかったら学校以外家から出なくなってしまうかもしれない。


 そんな心配をしながらネットニュースを見ると、またかと、声に出したくなってしまう。画面に映し出されるのはこれまた物騒な事件ばかりだがまたかと思った理由は物騒だからとかではなく単純に他のニュースが入ってきにくいからだ。


 こんな考え方は良くないのはわかっているけれどやはり自分には関係がないのだからと思ってしまう。


 いつまで経ってもそんなことを思っているのはなんとも自分らしくはあるが。やはりこう言う考え方が御沓レラを御沓レラたらしめているのだろうか?
















 気づくと外は暗くなっていた。寝てしまっていたのだろうか。帰ってきて布団に入ると対して遅い時間でなくとも睡魔に襲われ寝てしまう。


「ふわぁ〜」


 口に手を添えながら欠伸する。昔、人前では隠せと言われて続けていたら誰も居なくても無意識にこうするようになっていた。別にそんな話は珍しくもない事ではあるがやはり習慣や慣れというものは凄い。


 目を擦りながら随分と重く感じる腰を上げる。ドアの下に落ちているパーカーを拾い上げ埃がついていないか適当に払った後に確認する。


「よし!」


 多分綺麗なのでそのまま着る。何で落ちているものを着るのかとか、洗濯しろとか思われるかもしれないがこれには海よりも私の器よりも深い理由がある。


 だって、夜寒いしお風呂入った後に上着着るじゃん?でも上着ないからそこら辺にあったオープンでもジップでもないパーカーを着た。でもそれで寝ようと思ってお布団に入ると邪魔になる。という訳でまず脱いだ後に置く場所がないので布団の上に置く。それでも服ってものは案外重いので邪魔になる。だから仕方なく比較的ゴミの少ないドアの方へなげ、ドアに当たった服が床に落ちるのを確認した後寝たという訳である。


 私は悪くない!


 そんな調子でパーカーのポケットに枕元に置いていたケータイを入れて玄関で放り出したバッグの上に適当に投げておいた鍵を反対側の左のポケットに突っ込み家を出て鍵をする。

















 辺りはもうすっかり暗くなっていた。立ち並ぶ街灯の明るいようで明るくなさそうな光を頼りに道を進む。夜になるとここら辺は人通りというか、車通りが少なくなる。その為あり得ないほど静かになる。


 こんなに人目がないと美しく可憐でキューティ、それでいて高身長(予定)の私は連れ去られてしまう可能性もある。


 丁度こちらに向かってくるあの黒いワンボックスも怪しい。大抵あーゆうのに乗って連れ去られるんだ。


 ほら、丁度横に止まったし。


 ……丁度横に……え?


 扉が開く。


「いや、ちょま――」


 次の瞬間には何かハンカチの様なもので口を抑えられ意識が飛んでいた。

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