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死んで、レラ  作者: えとう えと
第一章
3/16

2時 一番歌詞に出てくる時間


 日直が号令をかけると1日が始まったのだと感じる。それは学生故の考え方なのかもしれないけど。


「――えーと君達の中にも知っている人もいるかとは思いますが、昨日滴間(しずくま)市の辺りで建物が倒壊した。この学校の生徒で通る生徒は少ないだろうけど――」


 そんなことを考えているうちに先生が何か話している様だ。どうせまた戦闘があったとかだろうけど何とも物騒な話だ。


 でもそんな物騒な話でも対して珍しくもなく、そこら中にほっぽり出されたゴミの様に大量に転がっているほどだ。そして、そんなゴミを拾って捨てようとしてもなかなかそうも行かず増えるばかりなのである……らしい。
















 約150年前、世界(テラ・ヌリウス)は突然、人類からの干渉を許した。


 許されたのは"表現の自由"、たったそれだけ。ただ"それだけ"がきっかけとなり、その瞬間から世界(ヒト)は大きく動いた。


 一番初めの事例はとあるイギリスの大学生がこの世ならざる異能を再現して見せたと言うことだった。その一報は世界(せかい)を駆け巡り世界中へと広がった。


 そこからは早かった。世界各地、さまざまな国で異能は確認された。水を沸騰させる者、発火する者、口から虫を大量に吐き出す者、様々な者がいた。


 それは日本でも例外ではなく各地から発現したとの知らせが届いた。


 だが、その数は極めて少なく発現しても能力は差して有用なものではなかった。そこで当時の研究者たちは考えた何とかして人数を増やし強力な固体を造ろうと。そんな時、新たな事実が発覚した。それは異能の本質とも言えるものだった。


 曰く、その異能には心が大きく関わっているのだという。


 研究者たちは半信半疑ながらも研究と失敗を繰り返した。その末に強力な能力者の育成に成功した。






 













 そんな事が常識になって、はや150年、治安の悪化なんかは仕方ないとも言えた。


 と言ってもきっかけが異能だっただけでそんなものは映像の中だけのものだった。大半の人は見たこともないし、いざ現れても精々マッチの火を灯すくらいの効果しかないようだ。


 実際のところ当時の人たちが異能を過大評価し過剰に警戒した結果、日本国内での銃火器などの現代兵器なんかの量が増えて治安が悪化したのだった。


 きっかけは異能ではあったが今問題視されているのはそういった兵器だった。


「――ここ最近はこう言うことが増えてきている。安全のために学校も少し早く終わるが興味本位で見に行ったりしない様に」


 そんな先生の話を聞き流す。もちろんそう言う人たちがいるのは知っているけれど私とは関わりのないことだとどこかで思ってしまう。実際、銃火器が増えているといっても異能より珍しくない程度で私たちの感覚ではそんなもの映画の中の代物だし。
















 放課後私たちは街を歩いていた。なんでも、かなえがカフェに行きたいらしい。さっき新作がどうとか言っていた。私は誘われなければそう言うところには行かないので数少ないカフェでの記憶でアルバムでも作ろうものならほぼ全てにかなえがいることになるだろう。


 横断歩道で立ち止まる。何気ない話をしながら信号が赤から青に変わるのを待つ。


 そこでふと反対側に立っている女の子と目が合う。綺麗な黒髪を腰上あたりまで伸ばしている。そしてその白く透き通る肌がその黒髪によく映える。


 そんなことを考えていたけれど流石にジロジロと見過ぎだと思い目を逸らす。丁度その時信号が変わった様で動き出す人々の流れに従って歩き出した。


 当たり前だが前を見ると先ほどまで向こう岸で立っていた少女はこちらに歩いてくる。さっきは遠目でしか見る事ができなかったがここまで近づいて如何に彼女が綺麗なのかを思い知らされる。ああ言う子がスカウトとかされるのだろうか?まぁ、スカウトも、後、数秒で一瞬すれ違うだけの、この少女とも私に縁はないだろうけど。


 すれ違う瞬間、ほぼ無意識で少女と自分の背を比べてしまう。でも仕方ない。これは身長が低い(低くないけど!)者の運命(さだめ)なのだから。


 ――ッ!


 すれ違う瞬間、靴が地面に張り付き脱げる様な奇妙な感覚に陥る。思わず目を見開きそうになるが足元を見ると何ともない。靴は脱げていないし地面に張り付いてもいない。


「――どうしたの?レラ?」


 疑問が湧くがすぐに声をかけられ霧散する。


「……何でもないよ」


 そう言ってすぐに歩き出した。

















 昔からお母さんは帰りが遅い。と言っても小さな頃の私が起きていられる時間には帰ってきてお話を聞かせてくれたのだからそこまで遅くはなかったのかもしれない。


 でも、その日はいつもより遅かった記憶がある。時計が読めないながらに短い針と長い針が普段帰ってくる時間を通り過ぎていると言うのは何となくだけどわかっていた。


 別に母が長針と短針の読み方を教えてくれたわけではなかったから確信を持つことはできなかったけど、でも帰ってきた時驚いた様な顔をして発した言葉は覚えている。


「……ただいま、レラまだ起きてたの?」


 多分私が寝ているだろうと「ただいま」と呟く様に言ったのだろうが私に気付くと先ほどの気だるそうな声はなりを顰め優しげな声色でそう聞いた。


「……うん……おはなしききたい」


 その時の私はもう限界だったのだろう。母が驚くほど遅くまで起きていたのだから。でも、眠気に何とか争いながらそう言った。


「いいよ、じゃあ、お布団行こうか」


「……うん」








 ――シンデレラは父親にお願いしていたお土産を受け取りました。


お土産は「お父さん、私には帰り道でお父さんの帽子にぶつかる最初の枝を折り取ってください」そう言って頼んでいた枝でした。


 シンデレラは母親の墓に行き、そこに枝を植えました。そしてそこでとても泣き、落ちた涙が枝を濡らしました。


 そしてしばらく経つとその枝は大きくなり、立派な木になりました。日に3度シンデレラはその下に行って座り、泣いて、お祈りしました。


 一羽の小さい白い鳥がきまっていつもその木にきました。白い鳥はシンデレラに望みを聴きました。シンデレラが望みを言うと、その鳥が娘の望んだものを落としてよこしました。


 そうそれは夢にまで見たメイド服だったのです。

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