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死んで、レラ  作者: えとう えと
第二章
15/16

14時 火花


 私の在校する学校の校舎は結構新しくて綺麗だったりする。意外と広いし設備も良い。


 そんな校舎を回りながら人気(ひとけ)が少なくったのを見計らい灯墨ちゃんに話しかける。


「灯墨ちゃん、どうしてこの学校に?」


「ん?どうしてって、レラがいたから?」


 それと学校では黒音と呼んでと言われる。名前を変えているのは灯墨ちゃんの名前は()では結構有名だからだという。


「でも、手続きとか、そんなすぐにできないでしょ?」


 そうやって疑問をぶつける。元々灯墨ちゃんの私を探していてくれていたようだけど私を見つけたのは木曜日、そして今日は月曜日、私にあった瞬間に手続きを始めたとしてもこんなに早くは転入できない。それにこの学校には転入テストがあるためその時間も考えるとてもじゃないがそう簡単にすることはできない。


「それは、ツテっていうか、色々あるのよ。それより次はどこを案内してくれるの?」


 そう、灯墨ちゃんの言われて本来の仕事を思い出す。今は校舎の案内の最中だった。


 ん?あれ、表立って接触できないからわざわざ私を拉致したんじゃなかったっけ?そう思い聞いてみると同じ学校なんだから話してもおかしな事はないと言われた。じゃあ、拉致せずに転校してくればよかったのにとも思ったけれど黙っておいた。

















「あ!レラいた!」


 そんなこんなで校舎を回っていると後ろから声を掛けられる。振り向こうとするが灯墨ちゃんの提案で手を繋いでいたのを思い出す。人が来たし流石に離そうと思ったけど何故か離してくれなかったのでそのまま振り向くとおっぱ――かなえが駆け寄ってきた。


「レラ〜、あ、黒音さんも一緒だったんだ!」


 ……頭が重い。隙あらば乗せてくる。


「え、ええ、たしか……三葉(みつは)さんだったわよね」


 かなえの本名は三葉かなえだ。


 なんか灯墨ちゃんの顔が歪んでる。怒ってる?


「かなえで良いよ、黒音さん」


「そう、じゃあよろしく、かなえさん」


 なんか妙にニコニコしている2人が握手をした。なんかミシミシいってる。


















 やはりイケイケな女子高生たちはここに集まるのだろうか?そう思わされるような空間がここにあった。


 席に座っているのは学校帰りだろう女の子たち、男性客もいなくは無いけど圧倒的に女子高生が多い。そんな字面だけ見れば人によっては楽園のように感じられるかもしれないこの場所――つまりカフェである。


 そしてここに居る大半は飲み物一杯で数十分持たせる事ができる猛者たちだ。飲みにきたんじゃなくて話に来たんだと言えばそれまでかもしれないけど私の場合、チビチビ飲んでもすぐなくなってしまう。女子力が低いのかもしれない。


 そんな女子力お化けが集うこの場所で、周りが霞んでしまいそうなほど存在感を露わにしている2人がいた。


 いや、別に隔絶した美しさでとかではなく(2人とも可愛いけど)本当に目立っている。


 2人の近くにいる私には2人の目線がぶつかる先で火花が散っているような感覚に陥る。もしかして、これも心象能力(アニムス)!?


 と、まぁ、冗談は置いといて。


「――私はレラと"一緒のベッド"で"抱き合いながら"寝た事があるのよ」


「――っ!?……ふ、ふーん、でもさ、レラは私のことは呼び捨てだけどあなたの事はちゃん付けで心の距離は遠いんじゃ無いの?」


「んぐっ……そんな事ないわよ、レラと私は昔からの知り合いだし」


「で、でも、大切なのは時間じゃなくてどれだけ相手のことを思ってるかだと思うけどな」


 とまぁ、こんなふうに言い合っている。何故こうなったのかはわからない。気づいた時にはこうなっていた。それにどうやら私のことで言い合ってるから止めに入りずらい。


 でも、補給なしで何十分も持ち堪えるほどの歴戦の猛者たちですら引いてるからそろそろ注意した方がいいと思う。


「……ふ、2人とも、あの、喧嘩は良くないと思うっていうか」


「「レラはちょっと黙ってて!」」


 ダメだった。

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