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死んで、レラ  作者: えとう えと
第一章
12/16

11時 記憶と記録


 私は血溜まりの中で疼くまる灯墨ちゃんを見下ろす。字面だけ見るとなんだか私が危害を加えた様な感じになってるのが解せないけど、そんな事よりも灯墨ちゃんが心配だった。


「大丈夫?」


 いや、どう見ても大丈夫ではないのはわかるけどそれしか言葉が出てこない。


「……え、ええ、気にしないで……ちょっと出血性ショックになりかけただけだから」


「そ、そうなの?」


 その出血性なんとかはよく分からないけどひとまず本人の口から大丈夫だと確認して安心した。私はこう言うことには詳しくないけれど手当てをするなら直ぐにしなければいけないことくらいはわかる。時間は大切だ。


「……ん?……時間」


 何か既視感を感じながらも時計を探す。するとすぐ見える位置にあった。


 時間は――


「……じゅ、10時!?」


「ん?どうしたの?」


 どうやら灯墨ちゃんはもう大丈夫な様で普通に立っている。良かったと内心思うが今はそんな場合ではない。何故ならば今日は――


「学校、学校どうしよう!?」


 昨日は水曜日で今日は木曜日、つまり学校がある。そしてその学校はとっくに始まってしまっている時間だ。


「ん?それならさっき連絡しといたわよ」


 学校が始まる前にサラがね、と言う。


「え?してくれてたの?……ていうか、起こしてくれても良かったのに」


 そう、学校が始まる前に私を起こしてくれればわざわざ連絡する必要もないのに。学校が始まる前に連絡したあたり私が起きないないのを予想していたっぽいけど。


「でも、どちらにしろ今日は行かない方がいいわ」


「どう言うこと?」


「……レラ、昨日のこと、どこまで覚えてる?」


「昨日のこと……うーんと、怖い人たちに囲まれて、灯墨ちゃんが来てくれて、それから灯墨ちゃんの手をとって……それで………ん?」


 あれ?思い出せない。灯墨ちゃんの手を取ったところまではハッキリと覚えているんだけど。


「うーん、思い出せない。でも何故か心象能力(アニムス)を使ったのは何となくわかる」


 記憶はないのに何故かそれだけは絶対だとわかる。不思議な感覚だ。


「そう、なら、簡単に説明すると昨日色々やらかしちゃってるから暫くは大人しくしていた方がいいってこと。目撃者は全員居なくなっちゃったみたいだけど」


「全員居なくなった?」


 それは危ないんじゃないだろうか?怖い人たちは私の顔見てるし灯墨ちゃんも見られてるはず。


「ええ、でも、大丈夫よ。彼らは捕まったから」


「捕まった?警察に?」


「いいえ、警察じゃないわ。まぁ、似た様なものだけれど」


 よく分からないけど大丈夫ならいいや。捕まったなら何かしてくることもないだろうし。それに、灯墨ちゃんが大人しくした方がいいって言うならそうだろうし。


「それで、今更だけどここはどこ?」


 本当に今更だけど私の中では他の事の方が優先順位が高いので仕方ない。だって色々気になってたし。


「ここはちょっとしたホテルよ」


 ちょっとしたホテルとは?いや、そもそもちょっとしてない。なんか隅から隅までキラキラしている。と言うかホテルなのにメイドさんが朝ごはん作ったんだ。


「まぁ、学校に行けないのと同じで、昨日は動けなかったのよ。レラだって疲れてると思ったし」


 だから、早く寝れる様に近くのホテルに入ったのだと言う。なんか申し訳ない。だからと言ってお金は払えないけど。
















 レラに昨日のことを訊くと心象能力(アニムス)を使った事自体は覚えている、と言うより何故か自覚している様だが心象能力(アニムス)を初めて使うとこうなる事も少なくない。実際灯墨もそうであった。


 初めて使った時、意識が飛んだ様に何も覚えていなかった。あったのは使ったと言う自覚だけ。灯墨はあらかじめ動画を撮っていた事でどう言う状況か確認できたがそれが無ければ思い出す事はまずない。


 ちなみに思い出すと言う単語を使ったが、それは灯墨が映像を見た時、それを知らない情報ではなく体験したことがある記憶として思い出したからだ。どう言う原理かは未だ不明だが映像ではわからない詳細な部分まで思い出せることから意識自体はあったのだろう。


 心象能力(アニムス)にはまだ謎が多い、そう思ったのだった。

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