金木ジュールの日曜日
金木ジュール
そう、それは私の名前だ
父は大の仕事好きで三度の飯より仕事が好きだった
ジュールは物理で仕事を表すと言う
仕事をたくさんできる人間になるようにと
父からの呪いのような名前が付いたのだ
まぁそんな父への恨みを思い出しながら
歩いていると大戸ビルに着いた
ここは別名世界白亜紀?ビルらしい
恐竜でもいんのかな
そんな事を考えながら二階の眼科へと向かう
年に数回視野検査を行なっている
まぁ眼科医からの説教をくらい
外に出る
「あのバカ医師、前が何も見えねぇじゃねぇか」
目の奥を見る必要があるらしく
瞳孔を開く目薬がさされ
ビルを出たときは目を覆って歩くしかなかった
日の光も強く涙が止まらない
「絶対いつか殺してやる」
そう呟きながら歩いていると
「金木そろそろ金を払えよ」
何も見えないが商店街にたどり着いたみたいだ
クソうるさい男どもの声が聞こえる
「悪りぃな今喋れないの」
口を覆い金の話を無理やり終わらせる
まぁ今から大金得るし
夕方には返してやんよ
街で1番有名なカフェに着く頃には
目も普段と同じように見えていた
「いっちょやりますか」
小さなポーチには蓋束のお札が入っている
なぜそんなに必要かって?
ここの地下は日本でも有数の裏カジノがあるんだわ
しかも紹介制でバレる心配もねぇ
日は暮れ
財布の中身と同じくらいの温度で
ダウンが欲しくなった
ポーチにはパンが一枚だけ
憂さ晴らしするしかねぇな
このパンは金木オリジナルである
噴水広場に着くと
鳩がパン目当てでやってくる
カジノで買った日は高いパンをあげるから餌づけされているみたいだ
「ほら食えよ」
緑のパンを食べた鳩は奇声をあげ
頭を突いてくる
「ふざけんな!またワサビ入れたろ」
鳩等から喉の掠れた暴言と暴力が頭を襲う
「ざまぁねぇな」
貴重な日曜日だ
私だけが苦しむなんてそんな不公平があってたまるか
鳩共一緒に地獄に堕ちようではないか
公園で私は鳩共にカジノの鬱憤を晴らすのであった