ランチですわ
正直金木さんは理想像ですわ
商店街では何かしら声をかけられ
なにやら頬を上げて話している姿
砂漠に咲く一輪の花のような美しさがありますわ
笑う時には小さな手で口を隠す
全てが完璧ですのよ
だからこそ悔しいのですわ
商店街の猫を真っ赤なブーツで蹴り上げ
金木の人気さに嫉妬をする
次は昼食みたいですわね
金木が地元で有名なカフェに入った
金木は慣れているようで
店員に自ら話しかけ一階ではなく
地下に降りて行った
私もついていこうとするが
「お客さま、そちらは会員の方限定となっておりまして」
「なら私も会員になりますのよ」
財布を出すが会員は紹介制なのでと
丁重に断られた
まぁせっかく入ったので
ランチ限定のケーキセットを頼んで待つことにした。
ケーキだけではなく
お皿にも粉でイラストが描かれていて
味覚以外の資格でも楽しませてくれる
しかしケーキの楽しさはすぐにおわり
机の上には使った後の食器だけになった
まだ出てこないですわね
流石の金木さんでも
食べ切れるサイズのはず
冬は暗くなるのが早く
日が暮れ始め店内には愛野だけとなった
「お客さま、ランチ時間も終わり一回店内を閉めますのでお会計を」
店員に退店をお願いされているとき
金木が地下から戻ってきた
足早に店内を後にした
彼女を追うべく
「おつりは結構ですわ」
ランチケーキで一万円が消えて行った