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楽しみ

「でも仲良くなれたのは羨ましいな。それに一応僕も名前を決めてきたんだよ」

クレディがキュースケをラークの頭に返しながら、聞いて欲しそうに言った。


「俺も決めた」

「まぁ、名前ぐらいはな」

ザイードは右手を挙げながら、ジグルドは頬を掻きながら、自分もと名乗りでた。


「皆も決めてきたんだ!なんて名前なの?」

痛みから立ち直ったラークが興味津々で尋ねた。


「僕は『ハーティ』胸のハートマークが可愛いんだ」

「『アルゴ』有名な小説に出てくる変装を得意とする義賊」

「俺は『ガラランダ』武神ガララディからだな」

3人は少し照れくさそうに、それぞれのドラゴンの名前を発表した。


「ねえ、昼休みに厩舎にいって皆のドラゴンに会いに行こうよ!昨日はキュースケばかりで他のドラゴンをあまり見てなかったし」


「賛成」


ラークの提案に、ふんすと鼻息を荒くしながらザイードは同意した。彼らもまた自身のドラゴンに付きっきりで、他のドラゴンを見てないことに気がついた。


「いいけど、それには担当の教師の許可がいるから、許可を貰わねぇとな」

「へー、そうなんだ。意外に厳しいんだね」


思い出したように話しだしたジグルドの内容に、ラークは少し驚きを見せた。なぜならこの学校は自主性を重んじる校風があり、基本的にはやることなすことに不干渉なところがあるからであった。


「去年に誰かさんが大騒ぎを起こしたからな」

「誰だよ、全く面倒くさいね」


前を見ながらジグルドが喋ると、やれやれとラークが溜め息をついた。


「1年前のこと、もう忘れてるね」

「『反省』と『学習』、この2つはラークとは無縁の言葉だからな」

「あれ?この雰囲気、もしかして僕?」


クレディとジグルドの会話に、さすがのラークもその原因が自分であることを察し、引き攣った笑みを浮かべながら尋ねた。


「お前以外に誰があんなk・・・」

「まあまあ!過ぎたことは仕方ないし?許可を貰うだけだからそれほど面倒でもないね!」


ジグルドが心底面倒くさそうに肯定しようとすると、ラークはそれを遮り、わざとらしく大きな声で笑った。


「調子の良い奴」


ザイードの呟きに、ジグルドとクレディも同意しながら、教室に入ってきた先生を見てそれぞれの席に戻っていった。




キーンコーンカーンコーン・・キーンコーンカーンコーン


「よし、昼休みだ!職員室に行こ!」


4限目の授業が終わり、昼休みを告げるチャイムが鳴ると、ラークは他の3人を集め意気揚々と職員室へ向かおうとした。


「飯は向こうで食えば良いし、弁当も持っていこうぜ」


ちょっと待てと、ジグルドが弁当を片手に提案し、4人は厩舎で食事をとることにした。




「お、他の生徒も許可貰いに来てるね」


職員室にたどり着くと、ザイードとクレディは普段見慣れない職員室の光景に辺りを見渡しながら、少し緊張しながらも、他の生徒を見つけ、その緊張を解いていった。


「考えることは皆同じだな。それに昨日会ったばかりで浮かれてるんだろう」

「僕たちもだけどね」


ラークとジグルドは、普段から呼び出しを喰らっているので、馴れた様子でズンズンと歩みを進めながら、レオルエを探していた。


「・・・レオルエ先生いないね。どこ行ったんだろう」


ラークがキョロキョロと首を左右に振りながら、許可が貰えないかもと困った顔をしていた。


「別にレオルエじゃなくても良いんだぞ?」


ジグルドはなんともない顔でキョロキョロと首を左右に振り、他の教師を探していた。


「そうなの?担当の教師って言ってなかったっけ」

「『育竜』を受け持つ教師なら誰でも良いんだ、他のクラスの教師とかな」


ジグルドの方を向き、尋ねるラークに、物知り顔でジグルドは語った。


「でも、他のクラスの先生なんて知らないよ」


うんうんとクレディとザイードが頷いた。


「よく見てみろ。肩にオレンジの竜のマークが入った服を着ているのが担当の教師だ。ちなみに、青だと騎竜の担当だ」

「そうなんだ。えーっと・・・あ、いた!ちょっと行ってくる」

「あ、ちょっと待t・・」


ジグルドの説明を聞くと、すぐに見つけたのか、ジグルドの制止する声に耳を貸さず、そのまま早歩きで教師に近づいていった。


「先生、厩舎に行く許可を下さい。レオルエ先生がいなくて・・・」

「はい、許可ですね・・・ってラーク君ですか・・・ちなみに、その、1人で?」


ラークは肩にオレンジ色の竜のマークの服を着ている眼鏡をかけた男性の教師に声をかけるも、振り返ったその教師は、その声の主がラークだということに気がつくと、笑顔のまま額に汗を滲ませた。


「???・・・違いますけど、1人じゃダメなんですか?」

「いえ、ダメというわけではないんですが・・・」


ラークの純真無垢でまっすぐな質問に、その教師は答えづらそうにもごもごと言葉を濁した。


「安心して下さい。1人では行かせません。ちゃんと僕らが見張っていますから」


すると、見かねたジグルドがその会話に割って入り、真剣な眼差しで教師をまっすぐ見ながらハキハキと言った。


「そ、そうですか。では、こちらにクラスと名前と時間を記入して下さい」


それを聞くと、ホッとしたように胸をなで下ろし、一枚のバインダーに綴られた用紙を取り出し、渡した。ラークたち4人は全員分の名前を書き終えると、職員室を後にした。



読んでいただきありがとございます。

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