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パートナー

「自分と同じ出席番号が書かれた檻の中にいるドラゴンが自分のドラゴンだからなー」

レオルエがそう言うと、生徒らは一斉に自分の番号のドラゴンへ駆け寄っていった。


「まだ子どものドラゴンとはいえ、既に大人以上の背丈は余裕であるからな。怪我には気をつけろよー」

はしゃぎまわる生徒らに軽く忠告だけした。


「おお、こいつはいい目をしてるな」

「うわぁ!かっこいい!」

流石のジグルドとクレディも興奮していた。


「いいな、僕も欲しかったよ」

そんな2人を見てより一層、羨ましさを覚えたラークであった。


「先生、僕にはドラゴンがいないのですが・・・」


「俺も」

ラークがレオルエに声をかけると、いつの間にか隣にいたザイードも肩を落としていた。


「・・・ってええ!?ザイードも?・・・ザイード、君は本当に親友だ。ドラゴンいない組として切磋琢磨していこう!」

ラークは、嬉しそうに慈愛の目でザイードの肩に手を置いた。


「あ、お前のは違うぞ?・・・ほらっ」

レオルエは「26」という番号だけが書かれている鉄格子の前に行くと、備え付けられていた餌を空中に放り投げた。


「あ、お肉が空中で消えた!」


「ザイードのドラゴンは、擬態能力に優れたカレオン種だな。周りの背景と同化してるのさ」

すると、空中にドラゴンが出現し、もぐもぐとお肉を頬張っていた。


「!!!!!!・・・・すまない。切磋琢磨できない」

振り返り、本当に同情しながら慈愛の目でラークの肩に手を置くと、ザイードは、目を輝かせ、すごい勢いで鉄格子に近寄っていった。


「わざとなのかと疑うくらいに、ほんとに上げてから落とすよね、いつも」


「ま、そんな気を落とすな。要特別待遇者にドラゴンは与えられないが、他の騎竜科のドラゴンの世話を手伝えるぞ。ま、雑用の一つだな」

ラークが悔し涙を流していると、レオルエが近づいてきて慰めた。


「でも、自分のドラゴンも欲しかったです」

ラークが恨めしそうに、ハッ八ッハと笑うレオルエを睨みつけながら頬を膨らませた。


「ドラゴンは無理だが、別のだったら良いんだよ。ルールの縫い目を掻い潜れよ」

レオルエはそんなラークの視線を真っ向から見つめ返し、ニヤリと笑って、まだまだだなと呟いた。


「それって・・でも良いんですか、怒られるんじゃないですか?」

ラークは不安と期待を半分ずつ孕んだ目をしながら、丸まっていた背中を少し伸ばし、疑いつつもその口元は嬉しそうにひくつかせていた。


「怒られねぇよ。前例があるからな」

フンと鼻を鳴らしながらレオルエは胸を張った。


「そうなんですねって・・なんでそんなこと知ってるんですか?」

ラークは不思議そうに首をかしげた。前例は少なくとも15年は昔なので、どう見積もっても、30歳ほどに見えるレオルエが教師をしているとは思えなかった。


「おれおれ、その前例者」

レオルエは人差し指を自分に向けながら、あっけらかんと言い放った。


「えええ!!!」

あまりの驚きにラークは目が飛び出そうになるほど驚いた。


「なんだなんだ?またラークが何かやらかしたのか?」

「ほどほどにしといた方がいいよ?」

「既に監視の身」

驚きの声に周りのクラスメイトが注目していると、3人が前に出て来た。声に驚いた自分たちのドラゴンを宥めてから来ると、しっかりラークが問題を起こしたと決めつけ、諫めた。


「違うよ!15年前の要特別待遇者はレオルエ先生だったんだよ!」

ラークはいつものことに軽く否定し、声を出した理由を3人に話した。



「まじか、それでも就職出来るんだな・・」

ジグルドはラークとレオルエを交互に見ながら呟いた。


「ねぇ、僕を見る必要は無いと思うんだが、どうしてこっちを見るんだ?」

ラークはイライラを内に秘め、微笑みながら尋ねた。


「なんでって、お前が就職出来るとは思って無いからな」

「余計なお世話だよ!」

ラークはジグルドの回答にイライラを露わにした。


「ジグルド、先生に対して失礼だぞー。ま、俺の成績自体は悪くなかったしな。昔は色々やりたい放題してただけだ」

レオルエが昔を懐かしみながら答えた。


「今もだけどね。あとジグルドは僕に対しても失礼です」



「ところで、別のって、一体なんですか?・・・スライムとか?」

ラークはずっと気になっていた言葉に淡く期待を抱きながら尋ねた。


「いやいや、流石にドラゴンの飼育法を学ぶリューデリア学園なのに、スライムじゃここで学ぶ意味がないだろう。もっとドラゴン寄りだ」

レオルエがチッチッチと指を振りながら、ニヤリと笑った。


「それじゃあ一体・・」

ラークはその態度に胸を弾ませた。


「ほら、あれだ」

レオルエが顎でクイッとある方向を示した。


「あれって・・」

ラークの目が見開かれ、他の生徒達も信じられないといった様子で見つめた。


「ああ、トカゲだ」

それは木の柱にへばりついていた。




読んでいただきありがとございます。

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