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仲間集結

「お、クラス分け表張り出されてるじゃん」

校舎の入り口の人だかりは、それぞれ自分のクラスを確認していた。



「えーと、僕らはFクラスの・・・・あった!2人ともFクラスだよ」

キールはものの数秒で、ラークとジグルド二人の名前を見つけた。


「最初から探す手間が省けるのが悲しいな」

ジグルドは無邪気に笑うラークを見て余計にそう思った。


「他は誰と一緒なんだろう?僕とジグルド、あとは・・・」


「俺とクレディも一緒」

「だいたい想像してたけどねー」

他の人を探していると、後ろから声がした。声を掛けてきたのは、またも1年のときから同じクラスのザイードとクレディだった。


「2人ともおはよう。今日のクレディは珍しく女の子に囲まれてないんだね。遂に女の子から嫌われた?」

ラークがからかうように肘で突いた。


「いや、ザイードを見つけたから近寄ったらさ、女子が離れていっただけ」

とんでもないカウンターパンチが、無警戒だったザイードの心をえぐった。


「カハッ・・・・・・・」

ザイードは力なくよろめいた。


「やめてあげてよ!ザイードはちょっと女の子とカメラが好き過ぎるだけなんだ!」

膝から崩れ落ちそうになるザイードを、ラークは抱きしめながら支えた。


「つまり、その盗撮趣味が嫌われてるんだろ」

ジグルドが冷静にツッコんだ。


「女子も俺を見ているから、俺も見ているだけ。深淵に同じ」

ザイードは自分の趣味の正当化を始めた。


「女子はお前のパンツを見てないだろ」

ジグルドが一瞬で論破した。


「辞めてあげてよ!その、あの・・えーと、元気出しなよ?」

またも、膝から崩れ降りそうになるザイードを、肩を持ちフォローしようとしたラークだったが、擁護する点が見つからず、困った顔で親指を立て、サムズアップをした。


「グハッ!!・・・・・・・」

唯一の味方がとどめをさした。


「あ!ザイードしっかりするんだ!ザイード!!!」


ザイードは放心状態になり、紙のように力なく崩れた。



「ま、とりあえず教室行こうぜ。1-D改め2年飼育科Eクラス、MM団は健在だな」

ジグルドは話を切り上げ、歩き始めた。


「いや、僕は抜けさせて貰うよ!今年度はMM団を解散して、甘酸っぱい青春を送るからね!」

ジグルドの後に続きながら、ラークは今年度の表明をだした。


MM団、マジで無理なメンツ、無駄遣いマン、様々な呼び名があるが、得てしてその意味は良いものでは無い。


「おいおい、リーダーが何言ってるんだ?」

「ラークあってのMM団」

「僕は入団してるわけじゃないけど、そのままのラークで良いと思うよ?」

「ラークの冗談は顔だけにしろってな」

3人は言いたいだけ言うと、アハハハと笑い合った。


(こいつら本気で1回シメてやろうか)

その様子を眺めながら、ラークはこの3人をいつか陥れてやると心に決めながら、校舎を歩いて行った。



飼育科E、その表札を見つけるのに少し時間がかかった。


「遠すぎるよ」

「歴代このクラスから大成した奴はいないからな。扱いもそれに相応しくなってるんだろうよ」

「とはいえ、まさか旧校舎にあったとは」

「まぁ、立ち話も何だし教室入ろうか」

4人は教室に入ると、寒さに身震いした。


「旧校舎が建築されてからしばらく経っているせいかな。少し寒いね」

「それだけじゃないぞ、見てみろ。視線が冷たいだろ」

「相乗効果」

身震いしたのはどうやら人的要因も含まれていたようだ。


「僕は少し暖かくなってきたよ」

3人とは違い、クレディには熱い眼差しと、黄色い声が送られていた。


「なんだろう、この格差は。妬みが一周まわって冷静だよ」

ラークはすました顔で呟いた。


「顔と性格の格差だな」

「全部か・・・あれ?世界が滲んでるよ」

ジグルドが現実を突きつけると、ラークの妬みの許容範囲の限界を超えた。


「拭くと良い。血涙が出てる」

ザイードは静かにハンカチを渡した。


「・・・あははは」

クレディは申し訳なさそうに、頬を掻きながら苦笑いした。


「お、席は決まってるみたいだな」

ジグルドは黒板に貼りだされている座席表を見つけた。


「僕とジグルドは隣同士で、ザイードとクレディは少し離れちゃうね」

ラークは少し残念そうにするも、当の本人達は違う考えを持っていた。


「問題児は隅に固めておこうという教師の思惑」

「こればかりは仕方ないね。ラークとジグルドはこの学園でトップを争う問題児だから」

ザイードとクレディはうんうんと頷きながら納得していた。


「「ハハハハ、コイツには負けるけどね(な)」」

2人はお互いにお互いを指さしながら、乾いた笑いをこぼした。


「何だとこのやろう!ジグルドの学習意欲の無さや【凶暴化】のスキルがピカイチで問題児でしょ!」

「いいや!てめぇの学習能力の無さと【絵描き】の方が問題だろ!」



問題児といういらない称号もとい、汚名のなすりつけ合いが始まった。



「ジグルドの【凶暴化】なんか、育てる上で被害しか生まないじゃないか!」

「じゃあ、ラークの【絵描き】はいつ使うんだよ。ドラゴン相手に紙芝居でもすんのか!?」

2人はいよいよ取っ組み合いになった。


「醜い争い」

「仕方ないよね。この学園の制度の一つで、今日の朝礼で、生徒の投票により最も問題児だと選ばれた者は、自分のドラゴンを育てる権利を剥奪されるからね、悪足掻きなんでしょ」

「さらに雑用付き」

「まぁ、この2人がいるおかげで僕らは高みの見物が出来るんだけどね」

「間違いない」

ラークとジグルドの争いを見ながら、少しだけ感謝していた2人であった。


読んでいただきありがとございます。

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