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友情

「ハハハ、バカな奴だよな。ドラゴンを持ってないくせに竜舞をするだなんて、誰も貸したくないに決まってるだろ?それも分からないバカだから要特別待遇者なんだろうな」


(ま、その通りだわな)


「ああいうバカは、親や人生までもがバカなんだろうな。誇りなんてないくだらない人間なのさ」


(・・・・・・)


「ま、これで俺の評価が上がれば、父上にも顔向けが出来る。良い踏み台になってもらうとするよ」


(・・・・・・)


ジグルドは表情を変えずに、用を足し終えると、澄ました顔で手を洗い、鏡を見た。鏡には、先ほどまで大きな声で駄弁っていた男、トーレン=イーグスが映っていた。その顔を確認すると、ジグルドは手を拭き、トイレを出ようとした。


ドンッ


「???」


大きな音に、トーレンと、一緒に喋っていた男が少し驚いた。

去りゆくジグルドの顔つきは、先ほどよりどことなく無表情の中に、怒りが垣間見えた。




「おい、ラーク。俺のドラゴンで戦え」

「え、どうしたの急に」


教室に戻るなり、開口一番でジグルドは自分のドラゴンを代理に立てるように言った。


「さっき、トイレでよ。あいつ俺の悪口も言ってやがった。ぶっ潰してやる」

「自分の事になると、途端にやる気出すね・・・とにかくラークも良かったね」

「助かるよぉぉぉ」


クレディがジグルドの態度の変わりように、苦笑いを浮かべると、ラークは心底ホッとしたように、全身の力を抜いた。


「・・・素直じゃ無い」


唯一、ザイードだけがなんとなくの察しがついていた。


「よし、そうなったら身体でも洗いに行こう」


話が纏まると、4人は勢いよく教室を飛び出し、厩舎へ走り出した。


「青春だねぇ」


新校舎の廊下の窓から、向かいの旧校舎の廊下を走る4人組を見つけて、レオルエはニヤリと笑った。




「よし、洗いながらでいいから聞いてくれ。ザイード、敵の情報はあるか?」


4人は厩舎で秘密の作戦会議を始めていた。


「ト-レン=イーグス。イーグス伯爵家次男。性格は知っての通りで、スキルは【威厳】。ドラゴンが言うことを聞きやすくなるらしい。ドラゴンは有毛種で水系のブレスがある。あとは潔癖症。――総合評価としては、面白みに欠ける」


ザイードが自分の盗聴器や隠しカメラを用いて集めた情報を、資料にして読み上げた。


「ということだ、俺のガラランダが負けるはずがねぇ。とはいえ、ただ勝つだけじゃなくて、一泡吹かせてやりたいと思う」

「総合評価の基準がよくわかんないけど、どうすればいいの?」


ジグルドの自信に少しだけ安心を感じつつも、まだラークの中では疑念が渦巻いていた。


「圧倒的に勝つ。もう二度と逆らおうと思えないぐらいに勝つ。それだけだ」

「とはいえ、僕に出来ることは無いんじゃないの?竜舞が始まれば、祈るぐらいしか出来ないよ?」


「いいや、そうでもない。奴は竜舞の最中にスキルを使ってくるだろう。そこで、お前の出番だ。いいか?良く聞けよ――」


4人の作戦会議はもう少し続いていった。



竜舞当日


「わぁ、意外と人が集まってるね」


竜舞場の観客席には、ポツポツと席が埋まっていた。


「今年度初の竜舞だしな。それに、成績最下位のお前が戦うってなったら、暇な奴らがぞろぞろ集まったんだろうよ」

「あはは、人気者だね」

「意外とね!隠れファンが僕にもいたんだね」

「あいつとラークは実際本当に人気が無い」

「ザイードよりはマシだと思うけどね」


ポカポカポカ


クレディのフォローにラークは嬉々とした反応を示したが、ザイードがすべてひっくり返すと、2人はしばき合いと言う名のじゃれ合いを始めた。


「お、向こうのお出ましだ」


ジグルドの声に気がつき、登場口を見ると、トーレンが余裕そうに歩いてこちらに近づいてきた。


「ちゃんと逃げずに来たようだな・・・なんで既にそんなボロボロなんだ」


「フッ、傷は男の勲章だろ?」

「傷っていうか汚れだけどね」

「ラークそこまでにして黙っとけ、一緒に居るこっちが恥ずかしい」


呆れた顔のトーレンに対し、ラークは堂々と腕を組んでいたが、クレディとジグルドが、ラークの有様を隠すように、ジグルドの前に立った。


「それで?ドラゴンは呼べたのか?」

「もちろんさ」


ラークは服の汚れをパッパお払い落とすと、トーレンに向き直った。


「まあ良いだろう。さて、賭ける内容を決めようか」

「僕が勝ったら、掃除を自分でする事、これまでの態度を誠心誠意謝ること。これだけだ」

「そうだな、俺が勝ったら卒業まで俺の雑務すべてをこなしてもらおうか」


トーレンが賭けの内容をだすと、竜舞場に来ていた生徒達にどよめきが訪れた。


「そんな内容が釣り合っていません!」


そんななか、一際耳に聞こえてくる声があった。


「お、コーデリアさんも見に来てるんだ。おーい!大丈夫!絶対勝つから!」

「ラークくん・・・頑張って下さい!」


その声の主を見つけたラークは、笑顔で手を振った。

手を振られたコーデリアはその笑顔に不安が薄れ、覚悟を決めたように大きな声で鼓舞した。




読んでいただきありがとございます。

ブックマークと評価(下の☆を★にすれば完了です)10秒ほどで出来るのでよろしければお願いします。

ほんとは、日曜日に全部上げるつもりだったのですが寝ちゃいましたごめんなさい


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