表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/17

進捗はうまくいかず

「そもそも、ドラゴンを借りるなんて出来るのかな」

「えーっと、なになに?ほうほう。ドラゴンの代理を立てることは禁止されていないな。だが、自身の手で育てたことのあると書いてあるから、これがどこまで及ぶかによるな」


ラークの疑問に、ジグルドは生徒手帳を胸ポケットから取り出して、竜舞について記載されているところを読み上げた。


「そうだ、レオルエ先生に聞いてみよう」


ラークの一言で、一行は職員室に向かった。



「どうした諸君」


職員室にたどり着くと一発でレオルエを見つけた。他の教師が、きちんと身なりを整えているのに対し、少し汚れたつなぎ姿は、その空間の中で一際目立っていた。


「竜舞のことで聞きたいことがあるんですけど・・」

「お、ついにやるか。誰と誰だ?」


レオルエに尋ねると、面白そうに目を輝かせてニヤニヤと聞き返した。


「2年飼育科Bクラスのトーレン=イーグスと・・」

「・・・その、僕です」


ジグルドとラークで、対戦する人物を言い、疑問に思っていたことについて尋ねた。


「ほほう、なるほどな。それでドラゴンが用意できないと・・」

「そうなんです。『自身の手で育てたことのある』って具体的にはどうなのかなって。1回でもお世話をしたことがあれば良いんですか?」

「おう、いいぞ」

「良いんですか!?」


意外にも、ドラゴンを代理で用いるためのハードルは低かった。


「なんせ、基本的には全員が自分のドラゴンを持ってるしな。本当は必要のない記載なんだが、15年前に俺が追加させた」


レオルエが得意げに鼻を伸ばした。


「流石レオルエ先生、問題児のパイオニアだ!」

「フフ、よせやい」


伸びていた鼻がさらに伸びた。


「これで、希望が見えてきたぞ」

「けど、ちゃんと借りるには許可もらわないといけないぞ」


伸びていた鼻を押さえて、元に戻そうとしながら、レオルエは借りる際の注意事項を伝えた。


「まあ、そうだよね」

「貸してくれる人なんているのかな・・・そもそも、騎竜科のドラゴンしかお世話したことないよ」


とはいえ、規則の壁を越えたとしても、実際に貸してくれるかは、別の問題として残っていた。


「それなら、お前らの内の誰かので良いんじゃねえの?」


レオルエが不思議そうな顔で尋ねた。何を簡単な事で困っているのかと。


じーー

ラークが3人を眺めた。


ふいッ

3人が顔を背けた。


「ね?」

振り返り、レオルエの問いに一文字で答えた。


「お前達結構淡泊なのな」


「いや、今回に関してはラークの問題だからっすよ。面倒ごとは勘弁ですね」

「僕もあまり戦わせたくないので・・」

「ラークが私怨で戦いたいだけ」


「薄情者なんですよ」


頬を掻くレオルエに、3人はそれぞれの答えを述べた。しかし、その答えをまとめた科のように、ラークが肩を落としながら言った。


「俺はちゃんと言ったぞ?関わるだけ無駄だって。自分より立場や能力が下の奴を見下す奴は、それ以外に見えてないんだよ」

「でも、馬鹿にされているのは、許せなかったんだよ」


「馬鹿にされてい(・・)る、ね・・・」


ジグルドはラークの言葉の違和感に、フッと口角をあげた。


「分かったよ、騎竜科の人になんとか頼み込んでみるよ」


ラークは少し照れながら、口調を普段より少し強めて、これからの予定に想い耽っていった。



それから5日が経ち、帰りの支度が終えているジグルド、クレディ、ザイードの3人が教室で待っていると、その待ち人であったラークが肩を落としながら教室に入ってきて、ドカッと椅子に腰掛けた。


「そんな、聞いて欲しそうな目でこっちを見るな」

「聞かなくても察しがつく」

「ラークは顔と身体に出やすいよね」


「はぁ、なかなかうまくいかないよ」


3人に、そのあからさまな態度をうっとうしそうに面倒くさがられ、遂に溜まっていた溜め息をついた。


「だろうな。好き好んで自分のドラゴンを貸し出す奴は少ないだろうよ」

「全滅?」


「いや、まだ全員に聞いたわけじゃ無いんだけど。あと数人だよ」


「望みは薄いね」

「とにかく残りの人にも声を掛けていくよ」


そして6日目の放課後、教室の隅で、昨日と同じ構図の4人がいた。


「もう時間も無くなってきたぞ。どうするんだ?」

「どうしよう・・・」


「もう全滅だろ?」

「全滅といば全滅だね」


「随分あやふやな言い回しだな」

「いや、もう1頭いたんだけど、怪我してたから、治ったとしても無理はさせたくないよ」


ジグルドは興味なさそうに、聞き終えると、ずっと我慢していたのだろう、席から立ち上がり、それでもゆっくりと歩き始めた。


「ふーん、ちょっくらトイレ行ってくるわ」

「あいよー」


3人は軽く返事をすると、また会話に華を咲かせていった。



一方、ジグルドが小便器に向かい、一息ついていると、背後から聞覚えのある大きな声と知らない声の2人組の会話が聞こえてきた。



読んでいただきありがとございます。

ブックマークと評価(下の☆を★にすれば完了です)10秒ほどで出来るのでよろしければお願いします。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ