表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/17

衝突

「ま、生徒の中には、ランク主義者もいるが、関わらないのが1番だな」

「俺のアルゴは世界にただ1頭だけ」

「僕のハーティもだよ」


ジグルドがふと、つまらなそうに呟くと、ザイードとクレディもフンッと軽く鼻を鳴らした。


「なんだか、嫌な奴らだね」


ラークは自分の手のひらで、お腹いっぱいになり、すやすやと眠るキュースケを撫でながら、残念そうにボソッと呟いた。


「そろそろ時間だし、教室に戻るか」


しんみりした空気を、ジグルドがパンと柏手を打ち、はらしたところで4人は厩舎の掃除をし、教室へ戻る準備をした。



「嫌だよ!自分でやれよ!」


4人が厩舎から出ると、男の怒号が聞こえてきた。


「Dクラスの分際で、Bクラスに逆らうってのか?」

「クラスは関係ないだろ!」

「分かってないなぁ、クラスの差は実力の差だ。将来国に必要な人間はどちらか分かるだろう?」

「それと、俺がお前の厩舎の掃除をするのは関係ないだろ!」

「ドラゴンとの触れ合いは俺しか出来ないが、掃除なら誰でも出来るだろう。そんなことに俺の時間を費やすわけにはいかないからな」


「何だと!」

「文句があるなら『竜舞』で決着をつけても良いんだぞ?」


どうやらBクラスの男子がDクラスの男子に理不尽な強要を敷いているようだった。


「どこにでも湧くな、ああいう奴らは。ゴキブリかなんかか」

「どうする?」

「止めとけ止めとけ。言っただろう?関わるだけ無駄だぞ」


4人は立ち止まり、野次馬心でそれを眺めていた。


「あのBクラスの男子、たしかトーレン=イーグスだったけな。ほどほどに権力と実力があって、人を見下すやつ。って女の子達が言ってたよ」

「そして、圧倒的に女子人気ランキングが低い。って女子が盗聴器越しに言ってた」


「情報の仕入れ方が月とスッポンの鼻くそぐらい違うね」


クレディとザイードはBクラスの男子に聞き覚えがあるらしく、2人とも顎に手をやり、思い出していた。


「そして、ラークはそんなイーグスよりも下」

「嘘だ!そりゃあちょっとだけ、おっちょこちょいな部分もあるけど、そこがチャームポイントじゃないか!」

「現実は残酷」


いつの間にか群衆が出来る程になっていた騒ぎとは別のところで4人は騒いでいた。


「ま、Bクラスが見下すDクラスよりも下のEクラスな俺たちは、早々に退散するとしますか」


そろそろ飽きてきたのか、放っておいて教室に戻ろうとしたそのとき。


「そんなことありません!」


「・・・お、あれは」

「コーデリアさん」


群衆の中から1人の女の子が現れた。去年1年Dクラスで、ラーク達とクラスメイトだった女の子であった。


「掃除だって大事な仕事の1つです。抜け毛の量や、糞の質でドラゴンの体調が分かります!ましてや、不必要な人なんていません!だから、決して他人に強要することではありません!」


コーデリアは少し怯えながらも勇気をだしてDクラスの男子を庇うように前に出た。


「だから、それが俺じゃなくても出来るってことを言ってるんだけどな・・・・はぁ。Aクラスのコーデリア=ハーネスト様に言われたなら、こちらが手を引くしかないなぁ」


トーレンは面倒くさそうに溜め息を使うとわざとらしく敬う体裁をとり、歩き始めた。


「ちょっと待って下さい!彼に謝って下さい!」

「良い子ぶってんじゃねぇぞ。コネでAクラスになったハーネストさん」


コーデリアがトーレンの非を責めると、トーレンはいたって普通のトーンで周囲にも聞こえるように言い放った。


「家は関係ありまs・・」

「無いと言い切れるのか?侯爵家の三女さんよぉ」


トーレンは立ち止まって振り返り、蛇のような卑しい目つきで尋ねた。


「っ・・・」


「・・・なんて冗談だよ。ではこの辺りで失礼しますね。皆もそろそろ時間だから教室に戻った方がいいぞ」


ハッハッハと笑い声を上げながら、トーレンが手をヒラヒラと振ると群衆は少しずつ散り散りになり、その場は解散となった。


「ちゃんと胸糞悪いやつだったね」

「俺たちも戻ろうぜ」


4人も教室へ向かい始めた。


「ちょっと待ってて!」


少し俯きがちだったラークは、3人にそれだけ言うと、未だその場に立ち尽くしているコーデリアに小走りで近づいた。


「コーデリアさん!」

「ラークくん!?・・・すみません情けないところを見られてしまいましたね」


いきなり声をかけられた事に驚いたが、すぐに顔を曇らせた。


「謝ることないよ。それに情けなくなんかないよ!格好良かったよ。・・僕はコーデリアさんが努力してたこと知ってるから!」

「ありがとうございます」


ラークの言葉に、少し涙が出そうになるのを堪えながら、満面の笑顔で感謝の意を述べた。


「それだけ言いたかったんだ」

「おーい、ラークもう行くぞー」


「じゃあ、お互い頑張ろうね」


ラークはジグルドに呼ばれると、足早に去って行った


「皆今でも仲いいんだ。羨ましいな・・・」



読んでいただきありがとございます。

ブックマークと評価(下の☆を★にすれば完了です)10秒ほどで出来るのでよろしければお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ