91、タキレス・ケイフォード side 対応
「殿下とアリシア様を守り隊を結成したいわ」
誰が言ったのか分からないがクラス中がやる気になっていた。エドワードとアリシア嬢はみんなに愛されてるなあ。上位貴族しかいないAクラスならではかもしれないが、それならばと私が監督役をすることにした。勝手に動かれてあらぬことになってはいけないからだ。
あれは以前誰だったかが言ったことがあった。
「あなたたちが殿下とアリシア様を敬愛し支えているから、私たちは例え普段から交流がなくとも殿下たちを信用できるのですよ」
そのとき、私はエドワードの真面目さに習っていただけであったが、それが私への信頼に繋がり、さらに自分を通してエドワードの為になっていたようだ。私が信頼できるから殿下も信頼できると。
なんだかむず痒いうれしさがあった。
授業が終わり、私はサイテスたちとわかれ、アンジェリーナを迎えに行く。
「アンジェリーナ、帰ろう」
私は馬車の中で今日の出来事をかいつまんでアンジェリーナに話すとマリアンナ・ブラウニングに憤慨したあと、私も守り隊に入りたいと言う。もう、このお嬢さんは……。
「あなたはそれ以前にアリシア嬢のお友達でしょ? お友達として助けてあげなさい」
というと、アンジェリーナは「お友達……」と呟き、やたら嬉しそうにしていた。
はぁ……。
このお嬢さんはお姉さんになるときと妹になるときとがあって、それが可愛かったりするのだが本人は自覚してないのだろうな。
私がキスをするといまだに真っ赤になるし……と考えていたら、実際にふいにキスをしていた。真っ赤になるアンジェリーナが可愛くて私は再度キスをした。
私はアンジェリーナをオルコット公爵家まで送ったあと城に向かった。帰りにサイテスも誘っておいたから直に来るだろう。
城に着くとエドワードの執務室まで案内されしばらくするとサイテスが来て、さらに数分後エドワードが戻ってきた。
「呼び出してすまない。サイテスはエミリー嬢はよかったの?」
入ってくるなり、エドワードはこんなときでも回りに気を使う。
「頼まれていた相手を攻撃しないように……についてはAクラスでは皆無だな。さすがに教育が行き届いている。BクラスからAクラスに何人か話にきたが、エドワード自身が話した内容を伝えられると驚きつつも納得して教室に戻っていった。
まあ、Aクラスではマリアンナ・ブラウニングの奇行をいやというほど知っていたし、今回の相手がそのマリアンナ・ブラウニングだと知ってからは『殿下とアリシア様を守り隊』を発足させてたぞ」
「は!? なんだそれは……」
エドワードが案の定驚愕していた。
「隊がおかしなことをしては困るから私が監督をするが、隊のものには何かさせるのではなく、見守らせるだけにはとどめたいとは思う」
「まあ……それがいいだろうね」
私がフォローすることを告げればあからさまにホッとした顔をしたので、みんなになにかあっては! と考えたのだろう。気の回しすぎだといつも思う。
アリシア嬢について様子を聞いたときも、エドワードは後悔しているような表情でなんとも言えない顔をしていた。
「エドワード、あまり思い詰めるなよ」
「うん……僕のせいだから仕方ない」
「だーかーらっ! 思い詰めるなって! 悪いのはあの女であってお前じゃないだろ!」
エドワードはちっともわかっていない。いや、エドワードはわかった上で自分のせいにしているのだろう。それぐらいショックを受けている。
「……ありがとう」
聞こえるか聞こえないかの小さな声でエドワードから返事があった。
「うん……。それじゃ、今後について話そう」
私たち三人は今後すべきことをあげ、問題点や予想されることについて話し合った。
◇
次の日、エドワードとアリシア嬢は学園を休んだ。アリシア嬢の様子があまり良くないのかもしれない。レオナルド様は来ていると聞いたので昼休憩に会いに行くことにした。
コンコンッ
「どうぞ」
レオナルド様の生徒会の自室を訪ねると先客がいたが、すぐに頭を下げ退室していった。
「彼は……よかったのですか?」
「ああ、用事は終わったからね。で、用事?」
「あ、突然申し訳ありません。二人が休みだったので……」
「二人ともうちにいるよ。エドワード王子にアリシアを任せてきたから今日は来ないよ。もしかしたら、明日も来ないかもね」
「アリシア嬢は……」
「アリシアは眠ったまま目が覚めない。それ以外は異常はないけれど、起きないことには学園にも来られないからね」
レオナルド様はなんでもないことのように言った。
「それより、教室内はどうだい?」
「はい。Aクラスに関しては考えが一致団結しています。他クラスはその動きがあるように見えますがまだそれには至っていません。三号館の方までは確認できていません」
「三号館は話が出回ってる最中かな。だがあの女が優勢らしいのは、三号館は下位貴族が多いからかもしれないね」
この人はどこから情報を……あ、先程の先客から……。
「レオナルド様には優秀な子飼いがいると聞いたことがあります」
「まだ修行中だけどね」
ウインクしながら話すレオナルド様は男の私から見ても色気たっぷりで、それでいてカッコいい。
「とりあえず、教師側がどう動くかだね。生徒会の方に連絡があればエドワード王子に伝えておくね」
「できたら私にも……」
「うん、いいよ。何かわかれば誰かに行かせる」
「ありがとうございます」
「さて、私は教室に戻るけれど、アンジェリーナ嬢に会いに行く?」
「いえ、私はまだやることがありますので」
「そう。アリシアは私もいるから心配しないで。タキレスはエドワード王子を支えてあげて」
「はい。承知しています」
その後生徒会室を出てレオナルド様とは分かれ、私はサイテスとエミリー嬢を連れて食堂に向かった。
読んでいただきありがとうございます。
ブックマークや高評価★、感想など頂けるとうれしいです。
励みにしますのでぜひよろしくお願いします(*^^*)




