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9、疑心

 

 なぜ、こんなことになってるのかしら?

 なぜ、私はエドワード王子の腕の中にいるのかしら?


 心臓がいやにゆっくり動いていたのが、抱き締められていると分かると早鐘のごとくドクドクなる。


 前の人生ではこんなことなかった。

 この方は私に興味がなく、いずれ私を殺してしまうほど憎むだけだったはずなのに。どうして?

 それとも思い出してないだけ?

 どちらにしても、もう限界……。心の中でパニックを起こしていた。


 私は両手でエドワード王子の胸をそっと押すと涙を流しながら


「私では…ないのです。エドワード王子はいずれ私を捨てて……しまわ……れ……っる」


 泣きながらだから最後の方はうまく話せなかったけれど、ちゃんと伝わったはず。ここまで言うと極度の緊張から解放されてホッとして力が抜けた。


 力が抜けた私を支えるようにエドワード王子が腰をホールドする。


「アリ? どうして僕がアリを捨てると思ってるの?」


 エドワード王子はいつもの優しい声で優しく聞く。この際話してしまった方がきっとわかってくれるはず。


「夢に……見るのです。毎日毎日。だから、捨てられる前に……婚約を解消したい……婚約を解消して……く……ださい」


 ひくひく泣きながら伝えるとエドワード王子が優しくゆっくり話した。


「アリ、よく聞いてね。僕は生涯アリだけを愛するよ。神に誓って。」


「えっ……?

 だって……夢の中のエドワード王子はマリアンナ・ブラウニング男爵令嬢と恋人になるのです。だから、私……」


「アリ、落ち着いて。僕を信じて。僕の好きな人はあとにも先にも君一人なんだよ。アリ、愛している。婚約解消だなんて言わないで……」


 私の心は混乱していた。完全にパニック状態だ。私の心は殺されるかもという恐怖が毎日のようにぴょこんと顔を出したり消えたりしている。

 エドワード王子の告白に混乱するなという方が無理だ。


「アリ、よく聞いてね。夢に見るのなら、見た夢と違うことをすれば僕を信じられるかな?」


「わから……ない」


「夢の中では僕はアリに愛の告白はしたのかな?」


 首を横に振り答えると


「ほらね、夢とは違うでしょ?」


 見上げてエドワード王子の顔を見ると、想像通りの優しい笑顔があった。


「夢とは……ちが、う……?」


「そうだよ。違うよ」


 わからない。わからない。わからない。

 夢の中では何度もエドワード王子に殺されているのに……。夢とは違う?


「マリアンナ男爵令嬢とはまだ学園で出会ってないから……」


「だったら、夢の中で見たことを僕に教えて。すべて回避していくよ。アリと一緒になるためならなんだってするよ」



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