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83、二手

 

 二日目の昨日も結局お兄様に抱っこされての移動だった。いくら大丈夫だと言っても私のとなりを陣取ってかいがいしく世話をしてくださったのだけれど、エドワード王子がいらっしゃったときは部屋を退室していかれた。


「アリ、足は大丈夫?」


「昨日は筋肉痛で辛かったのですが、今日はだいぶマシになりました。もう少し体力つけないとダメですね」


「無理はしなくていいよ。今までからすると、アリは頑張りすぎる節があるからね」


「大丈夫です。体力をつけることは悪いことではないですから」


「やりすぎないようにエマに伝えておくね」


 エドワード様は相変わらず過保護だと思う。そのあとも他愛ない話をしながら、たまにキスをされながら……エドワード様は帰っていかれた。毎日会っていても淋しくなる。


 次の日の朝になり、部屋に来たお兄様に抱っこを断ると頭を撫でられた。


「また動けなくなったら運ぶからね」


「もう! 荷物ではないですよ?」


「ははっ。ごめんごめん。でも重い方が私の鍛練になるから次までにもう少し体重増やしておいてね」


「ではいっぱい食べて増やさないとですね」


「そうだね。じゃぁ、朝食に行こう」


 お兄様は微笑みながら手を差し出して私をエスコートし、食堂まで一緒に歩いて行った。ただそれだけなのに、お兄様のスマートな所作はかっこいいと思う。


「アリシア、たくさんお食べ」


 モグモグ、モグモグ……。

 お兄様、自分で食べられますから……と言いたいのに、次から次に口に入れないでください。


 ◇


 学園につき、教室にいると副担任のラドニー先生からお話があった。


「殿下、ご存じかと思いますが、新入生歓迎会を一週間後に行い、さらに生徒は全員参加が決まりました。欠席したかったと聞いております。止められず申し訳ありませんでした。警備については陛下より近衛をさらに数人お借りします」


「配置は任せます。レオナルドにも相談してみてください」


「承知しました」


「では授業をはじめましょう」


 私はエドワード様や近衛騎士のイアン様に練習を見てもらった課題の縄抜けをラドニー先生に披露した。練習のときより少し手間取ったがなんとか成功すると、ラドニー先生は目を丸くして驚いていた。


「がんばられましたね」


「ありがとうございます」


「では少しずつレベルを上げていきましょう。次はより早くできるように練習していきましょうね」


「はい、がんばります」


「では殿下の方は道場がそろそろ空くので、移動して鍛練をしましょう。アリシア様は今日は待っている時間を使って、道場で近衛と縄抜けの練習を行ってください」


 道場の空き時間の関係で、授業の始まりの時間と、移動しての利用時間が異なることになっているが、二人なので時間はまだまだ十分ある。

 道場ではエドワード様はかなりハードな内容をこなされていて、私だったら一、二分で根を上げそう……。


「ではアリシア様、はじめましょうか」


「はい」


 今日の近衛騎士はイアン様とよく一緒に護衛についてくださるアレン様だった。二人でしばらく練習をしていると熱中していたからか、あっという間に終了の時間になり、急いで教室に戻ることになった。

 戻っている途中、他のクラスとかち合いそうになったので、狙われているエドワード様が先に騎士たちと戻り、私はラドニー先生と戻ることになった。



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