77、マリアンナ・ブラウニング side 友達
入学式の次の日にやらかしてから、しばらくは騎士から隠れながらエディについて調べていたが、Aクラスの人たちは私を人だと思ってないのか、話しかけても無視か蔑むばかり。この国の偉い人たちのご子息様たちの教育はどうなっているのやら。
家に帰るためにいつも通り乗り合い馬車に乗ると、いつも一緒になる年配のおばさんから話しかけられた。
「あんた、毎日乗り合いで学園に通って大変だね」
「うちに馬車がないので仕方がないんです。それにこれだと安いですし」
「そりゃ安いがあんたお貴族様だろ? 乗せてくれる友達はいないのかい?」
「まだ入学したばかりでお友だちがいないんです。それにこの前まで平民だったから、話し掛けづらいし」
「へー。お貴族様の世界も大変だね」
「でも殿下がいるから大変じゃないですよ」
「殿下っていうとエドワード王子殿下かい?」
「そうです。エディがいるから学園に通ってます」
「エディって……。あんた婚約者かい?」
「……そう、(なる予定)ですね」
「婚約者様だったのかい。気軽に話しかけちまってすまないね」
「いいえ、気にしないでください」
「そういえばだいぶ前に『令嬢の恋』って本が流行ったけど、それみたいだね。知ってるかい?」
「いいえ、機会があれば読んでみますね」
私は知っていたけれど知らないふりをした。
「あんた友達がいないって言ってたけど、友達は大切だよ。その本でも助けてくれるお貴族様がいたからね」
「そうなのですね。友達は作らないと……ですね」
「がんばんなね」
「はい。ではここで降りるので失礼します」
私は家の近くに着いたので乗り合い馬車を降りた。おばさんに手を降り帰宅した。
友達を作るにはどうしたらいいかしら。やはり何か魅力がないとダメよね。私が持ってるのはこの『令嬢の恋』の本ぐらい。こっちに引っ越すときに前の友達がお餞別にくれたものだ。
この本を図書室に置いて、貸し出すのはどうかしら?いや、もう図書室にあるかもしれない。そして本を借りた人にさりげなく接触して……。
ふふふふ。
そうと決まれば、明日から図書室にもいかなくては。主人公は馬に興味を持って本を読んでたから、私も馬の本を読んでるふりをしばらくはした方がいいわね。
ふふふふ。楽しみだわ。
次の日、私は朝早めに登校し、図書室に行くとまだ誰も来ていなかった。『令嬢の恋』の本を探すと、貸し出されているようで、貸し出しカードには名前が何人か書いてあった。これまでに何人か借りていき、その中で三人が何度も借りていることがわかった。
これはBクラスの……。もう一人は……。他にも……。
うん。はじめはこの二人ね。
ふふふふ。
私はさっそく今日の昼休憩から行動することにし、図書室では面白くもない馬の本を読み始めた。
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