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75、移動

 

 午後はダンスレッスンの時間になっていて、エドワード様と二人で踊っていた。


「アリ、だいぶ体力戻ったね」


「もう大丈夫ですよ?」


「でも今日は、この曲で終わりにしようね」


「はい」


 エドワード様は過保護だと思う。もっと一緒に踊りたかったなあ。少し不満な顔が出ていたのか、躍りながらチュッとキスをされた。


「僕はアリとしか踊らないからね。だから機嫌をなおして」


「機嫌が悪いわけでは……ただ、もっと一緒に踊りたかっただけです」


「アリ、かわいいけど、今日はおしまい」


 むむ。ダメだったか……。

 曲が終わり挨拶をしてから息を整えていると、急に膝から崩れ落ちそうになったのを、エドワード様に支えてもらった。


「あれ? なんで?」


「ちょっと無理をさせたみたいだね。もっと早く止めるべきだったね。ごめんね……。

 足の筋力はなかなか戻りにくいんだよ」


 そういえばだいぶ細くなってしまってから、あまり肉も付いてない。


「しっかり食べてるつもりなんですけどね」


 エドワード様は私を横抱きにすると、ダンスホールをあとにし、自室へと移動した。ここだとリハビリのときから横抱きにされていたからか恥ずかしくはなかった。


「新入生歓迎会では一、二曲踊るだけだから、焦ることはないからね」


「はい」


 エドワード様の自室に戻り、エドワード様はそのままソファーに座られた。私を膝に乗せて……。

 私は降りようとしたが、腰をホールドされていてできなかった。


「あの……自分で座れます……」


「もうすぐアリが公爵家に戻るのかと思うと離したくない」


 エドワード様はそのまま私をぎゅーっと抱き締めたので、私はエドワード様にもたれ掛かり目をつぶった。



「アリシアはここだと寝てばかりだなあ」


 目を開けるとお父様がいた。あれ? なんで?

 私はエドワード様に抱かれながら眠ってしまっていたらしく、今もそのまま抱かれている。


「エド、私降ります」


「その前にアリ、手を離せる?」


 手? 自分の手を見ようとして気がついた。私の手はエドワード様のシャツを握っていた。


「あっ」


 私はあわてて手を引っ込めると、エドワード様がゆっくりと私をソファーにおろしてくださった。


「アリシアは以前も殿下のシャツをつかんで離さなかったね」


 えっ! そんなことあったかしら……。首をかしげつつエドワード様を見ると、頷かれたのであったのだろう。うう、恥ずかしい。


「ではそろそろお暇しよう」


 お父様に言われ立ち上がろうとしたところ少しふらついてしまい、結局エドワード様に横抱きにされながら馬車まで向かった。


「エド、すみませんでした」


「アリ、こういうときはありがとうだよ」


「あ、ありがとうございます!」


「うん、また明日」


 私は馬車に乗せてもらい、すばやくキスをされたので思わず回りを見てしまったけれど、お父様は侍従と話していて誰も見ていなかったことにホッとした。するともう一度キスをされ、エドワード様は名残惜しそうに馬車を降りた。


 馬車が公爵家に向けて出発すると、お父様から足をどうしたのか聞かれたので、ダンスのレッスンをやり過ぎて動けなくなってしまったと答えるとホッとされた。

 ん? なんでホッとされたのだろう?


 家に着くと、お父様が横抱きにして部屋まで連れていってくださった。その様子を見たお兄様がお父様に理由を聞き、そのあとの移動の全てを、お兄様が私を横抱きをしたがって少し困ったけれど、夜になり筋肉痛が出てくると運んでもらうのは逆にありがたかった。


「アリシア、私ともダンスのレッスンをしようね」


 優しく微笑むお兄様になんとなく返事がしづらいと思ったが、「はい」と答えた。



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