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50、エドワード王子 side 胸中

 

 レオナルドがサロンに到着した。


「エドワード王子、アリシアお待たせいたしました。

 アリシア、悪さはされてない?」


 安定なこの物言い。しかもアリの隣にピッタリとひっついて座る。


「もっと小さいソファーに座っていればよかった」


 思わず小さな声で愚痴る。


「レオナルドも来たことだし、お茶にしよう」


 侍女に頼んでいたお茶菓子や紅茶が運ばれると、甘い香りが部屋いっぱいにしてきた。


「アリはどれにする?」


 アリはイチゴをたくさん乗せたショコラタルトを選んだ。これはアリのために毎回作らせているもので、イチゴもショコラタルトも好きなアリ専用になりつつある。


「アリはいつもこれだね」


 記憶がなくても選ぶものはいつも一緒だ。うちの料理人も喜ぶだろう。


「ずいぶん仲が良くなったようですね」


 いつもより低めの声でレオナルドが僕を軽く睨むと、そのままスッと表情を戻し、学園でのことを報告してくれた。


 面会はまだ早いが、タキレスやサイテスらなら、稽古のときにでも少し話せるだろう。まだ言えないことのほうが多いが……。


 その後、レオナルドに呼ばれ、部屋のすみに行く。


「エドワード王子、アリシアに手は出してないでしょうね?」


「どうして?」


「治療のためだというから兄として私は我慢しています。治療でなければ我慢しません」


「そういうことか。僕は立場はわきまえてるよ」


「ベッドとパーティションはいかがでしたか?」


「あれらもレオナルドが?」


「いえ、あれは父上です」


「ふふっ。ありがたく使っておりますと伝えておいてくれ」


「承知しました」


 釘を存分に打たれたあとは、マリアンナの話となった。さすがにアリシアの前では言いたくないらしい。


「ブラウニング嬢ですが、エドワード王子が通学されないことにだいぶ苛立っているようです。理由を探ろうとAクラスの前をうろうろしている姿が目撃されてます」


「本当の理由は学園では叔父上かレオナルドしか知らないことだ。心配ない。むしろ、レオナルドが知っていることを悟られないよう、気を付けた方がいいかもしれない」


「そのあたりは大丈夫です。では、そろそろアリシアが待ってますから戻りましょう。かわいいアリシアに会いにきたのですから……」


「レオナルドは相変わらずだね……」


 僕らはクスクス笑いながらアリシアのところに戻った。


 アリシアは僕らが気になっていたのか、全くケーキを食べていなかった。

 もちろん、僕らはアリの小さな口にこぞってケーキを食べさせる。もぐもぐしてる顔もかわいいなんて。

 アリが拒否するまで口にいれてしまった。


 エドワードが帰る前に僕の部屋を訪ねたいと言ってきたが、さっきのベッドとパーティションの確認だと思ったので理由をつけて断った。


「うん。やっぱりパーティションを戻そう」


 エドワードが帰ってから侍女とベッドの配置を戻した。

 どうせ、一つのベッドで寝るのだからレイアウトは気にしなければいいだけだ。



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