5、エドワード王子side 決意
僕の名前はエドワード・グレイスリー。この国で第一王子をしていて、王族特有の金髪に金色の目をしている。
民のお手本となるべく学業、剣術ともに励んでいる。
五歳のころ、アリシア・スチュアート公爵令嬢と婚約を結んだ。銀髪で青い目の彼女は間違いなく美少女ではあった。が、僕自身、まだ女の子に興味がなく、アリは同い年ではあったが小柄であったため妹のようにしか見えなかった。
アリとは王妃教育が始まってからあまり会うこともなかった。僕も勉学や剣術に忙しかったため昨日会ったのは本当に久しぶりだった。
婚約者が三日も倒れていたと聞き、形式上見舞いに行かないわけにはいかないので、忙しい合間をぬって訪れた。
レオナルドからは会うといつも笑顔で威嚇される。笑顔だが目は笑ってない。昨日もそうだった。
部屋に入るとうつむいたアリがいた。どうしたものか、小さく震えた姿がうさぎを連想させた。
具合が悪いのかと思い顔を覗き込んでみると、アリはキレイな目を見開き、はらはらと涙を流した。
僕の心臓は止まったかと思った。なんて綺麗なんだ。なんども会ってはいるが一目惚れだった。
恥ずかしかったのか急にアリがごめんなさいと謝りだしたから背中をゆっくり擦ったが、アリはそのまま気を失ってしまった。
今思うとなんと儚げで可憐なんだろう。
看病を申し出たが、アリの専属侍女のエマに丁寧に断られがっかりしつつ城に帰った。
昨日から寝ても覚めてもアリのことばかり考えている。勉学にも剣術にも身が入らなかった。
昨日倒れたことだし、心配だからお見舞いに行こう。
昨日の今日だったから強引にアリの部屋の前までエマに付いて行くと声が聞こえてきた。
「お兄様が婚約者だったらよかったのに」
「え?」
ドアがほんの少し開いていて隙間から漏れ聞こえたのだろう。これはどういうことだろう。今までほったらかしにしていたからだろうか。真意を聞かないことには……。
2人になり、偶然聞いたことを伝えた上で聞いた。
「レオナルドと婚約したかったというのは?」
「ふ、深い意味はないのですが、いつか兄にも婚約者ができるのかと思ったら急に寂しくなりまして……」
「兄思いなんだね。でもアリは僕の婚約者だから誤解されるようなことは言ってはいけないよ」
「は……い……」
ホッとした。僕のことが嫌で言ってるのかと思ったから。仲の良い兄妹故の言葉だったのだろう。
アリは怒られたと思ったのか少し震えてた。
「アリ?」
「は……い……」
「僕は怒ってるわけじゃないよ。顔をあげて?」
すると、ゆっくりと顔をあげてくれた。頬を赤くし目がうるんでいてとても可愛かった。思わずふわりと笑う。
「やっと顔が見えた」
アリは大粒の涙を流し、顔を次第に真っ赤にさせ意識を失った。
「アリ! アリ!」
まだ体調が悪いのに、僕が無理させてしまったから気を失ったのか?
僕はなんで問い詰めるようなことを言ってしまったのか。
次からはもっともっと優しく接しなければ。
それにアリにもっと好かれるように、勉学や剣術に励みもっとかっこよくならなければ!
儚げで可憐なアリを守るために。
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