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49、エドワード王子 side 嫉妬

 

 今日のアリシアは予定がないこともあり、僕の予定に付き合ってくれた。そのため自室でできるものは自室でやり、鍛練などは少し離れた場所で見学してもらった。


「エドワード様、私は邪魔ではないですか?」


「とんでもない! むしろやる気が出るよ! それよりも、アリはつまらないでしょ?」


「そんなことないですよ」


 アリも図書室から本を借りてはいたが、朝からほとんどページは進んでいなかった。

 僕を見てくれていることが感じられ、一休みするたびにアリにキスをした。アリも嫌がってはないようなので遠慮なくやる。

 真っ赤になるアリがかわいい。



 そろそろ学園が終わる時間だ。おそらく、あの兄は終わると同時にこちらに向かうはず。仕方がない。準備しよう。


 アリを連れてサロンに向かった。侍女にアリの兄のレオナルドが来たら、サロンに通すように伝えたので、到着したら来るだろう。


 サロンから見る外の景色はなかなかのもので、庭園の咲き乱れる花の中にある噴水はあちこちに弧を描いて見ていると楽しくなる。その庭園をアリと二人で眺めていた。


「あぁ、せっかく二人の世界だったのに……」


「え?」


 心の声が漏れてしまったらしい。


「アリー、やっぱりレオナルドに会わないとダメ?」


「ふふっ」


 ずっと二人でいたいのだけどね……。

 会わないという選択肢はないか。


「アリはねぇ、昔レオナルドと婚約したかったと言ったことがあるんだよ」


「そうなんですか?」


「僕がどれだけ悲しかったか分かる?」


 あのときを思い出して、アリをじとっと見てしまうが、もちろん今のアリは覚えていない。


「僕は仲の良い君らにいつも嫉妬してるんだよ」


 僕はゆっくりとアリの方を向き、アリを自分の方に引き寄せキスをした。人差し指を上唇に、親指を下唇に当てて口を開き、そのまま舌を口腔内にすべらせる。

 アリが崩れそうになったのでアリの腕を僕の首に回させ、僕の腕はアリの腰にしっかりと回した。口の中で舌を絡め、だんだんアリの腕に力が入り、しばらくしてから唇を離した。


「はあ、はあ……」


 アリは肩で息をし、力が入らないようだったのでソファーに移動し座らせ、僕は隣に座りぎゅっと抱き締める。アリはだんだん落ち着き僕を見つめた。


 僕は兄妹だと分かっていてもいつも嫉妬してしまう。アリは僕と婚約したいと思ってくれていたのかと……。それでもアリの前ではいつも笑うように心がけていたからか自然と笑顔になる。


 そんな僕に、アリは抱き締め、


「記憶をなくす前の私も、エドワード様のことが大好きだったと思いますよ」


「そうかな……」


「記憶があってもなくしても、どちらも私ですから。好みなんてそうそう変わりません」


 アリの言葉が思った以上に心にきて、泣きそうなくらいうれしかった。アリは言ったあと、僕の胸に顔を埋めてはいるが、アリの顔が赤いのが見える。


「ありがとう」


 僕は呟いた。



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