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47、エドワード王子 side 敏感

 

 食堂に着くと父上、母上の他にアリの父上と母上、そしてレオナルドが待っていた。


 会ったとたん、アリは公爵たちに謝罪をした。黙っていなくなったことでのものだろう。アリは頭を下げるも、手は僕のジャケットの裾を掴んでいた。僕はそっとその手をくるむように掴んだ。よほど緊張しているのだろう、少し手が震えていた。


 そのアリに対して公爵は優しく声をかける。


「いや、記憶がないのに配慮が足りなかった。すまなかったね。

 ところで、私たちが家族だということは?」


「はい、エドワード様から聞きました」


「エドワード王子のことは思い出したの? ずいぶん信用してるように見えるけど……」


 出た。レオナルドがすかさず質問するがアリは首を横に振った。


「自分とどのように関わったのか思い出せないし、自分のことも思い出せません。すみません」


「いや、謝らなくていいし、無理もしなくていい」


「ひとまず話はそれくらいにして、食事にしよう」


 父上が割ってはいってくださったので話は終わったけれど、止めなければレオナルドの話は延々続きそうな勢いだったことに苦笑する。


 父上の声で食事が運ばれ、みんなで食べることになった。


 僕はアリの食の細さに常々心配していた。今だって、熱を出してから更に折れそうなくらいの細さになった。今日も見ているとあまり食は進んでおらず、ついつい切り分けて口に入れてあげるとなんだろう。アリがかわいすぎる。

 二、三口入れたところでレオナルドも同じようにしだしたから、競うように食べさせることになりアリはすぐにお腹がいっぱいだと僕たちを拒否した。しまった。やり過ぎたか……?

 見ていると食べることを拒否しただけで、僕たちを拒否したわけではなさそうだった。危なかった。


「そういえば、エドワード王子。アリと同じ部屋だとか?

 父上や母上も許したのですか?」


 食後すぐにレオナルドが、爆弾を落とした。皆を見回しながら目をつり上げている……。


「……許すもなにも婚約者だし……。アリシアは一人にできないし……」


 公爵が言っていた通り、レオナルドははっきりと口を出してきた。

 ただ、こちらも予定通り父上が公爵を手助けするようにレオナルドに話しかけた。


「レオナルド、記憶が戻るまでは見守りたいと言ったのは私だよ」


「陛下……」


「今までの二人を見てきて、二人なら乗り越えられると思ったし、経験上、二人の方が解決まで早いかと思ったのだが……」


「陛下がそこまでおっしゃるなら……。でもいつまでもってわけにはいきませんからね!まだ未婚なのですから」


「もちろん」


 レオナルド、余計なことを。

 このまま婚姻まで一緒でよかったのに。

 レオナルドの言葉から一ヶ月の期間を目安に治療を進め、その間学園は休むことになった。

 学園の学業は僕もアリもすでに習得済みなのでこれぐらい行かなくても問題ない。


「私は学園が終わったら毎日アリに会いにいきますからね」


 レオナルド……毎日来るのか……。

 目眩がするような気分になった。

 とりあえず、予定通り事は進んだので今はよしとしよう。


「最後にいいですか?

 僕はみんなの前で宣言します。これまでもこれからも、ただ一人の人としてアリシアを愛し守っていきます。どうか見守っていてください」


「殿下、結婚はまだですからね」


 公爵がじとっとした目をして言ったが、僕は「もちろん」と答えていた。



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