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46、エドワード王子 side 始動

 

「アリ、喉乾いたでしょう?」


 僕はリンゴジュースを手渡すと、アリはこくこくとおいしそうに飲んだ。


「おいしい!」


 なんだろう。このかわいさは。

 アリをずっと見ていると、それに気がついて首をかしげるなんてかわいすぎるでしょ。


「記憶がなくても、アリはアリだね。笑顔もしぐさもアリのままだ」


「そうなんですか? 自分ではよく分かりません。自分がどんな人だったのかも……分かりません」


 アリの悲しげな顔を見て、僕はアリを抱き寄せてチュッとキスをした。アリシアの目をしっかりと見て伝える。


「大丈夫だよ。僕がずっと側にいる」


 記憶をなくしてもアリはアリだ。アリと目が合い、僕を見てくれていることにホッとするけれども、消えたいと言ったアリを思うともっとどうにかできなかったのかと後悔もする。


「私はあなたに愛されるような人でしたか?」


「うん。僕はアリしか愛していない。アリだけを愛している」


 当たり前じゃないか。

 僕はもう一度キスをする。


「わた、し……き、す……」


「アリ、逃げないで。アリは僕のただ一人の人なんだ」


「は……い……。でも、き、キスは恥ずかしいです」


「大丈夫だよ。すぐになれるよ」


 もう一度チュッとキスをする。


 僕は今まで僕の感情をかなり抑えていた。

 アリが怖がるといけないから。

 でもそうじゃない。言葉だけいくら甘いことを言っても、それだけじゃ伝わらないことが分かった。


 アリとソファーに移動し、僕はアリとの出会いから今までの話をした。途中話が脱線することもあったけれど、アリはアリの今までの話をよく聞いてくれた。ついに前世の話をしたとき、驚きつつも記憶をなくしたことを納得したような顔をした。


「なんとなく私の事情がわかりました……」


「だからね、もっともっと分かりやすく愛することにしようと思ってね……」


「……ん?」


「僕の愛が伝わってないから、アリが疑ったのだとしたら……それなら、もっと分かりやすく愛したら信じてもらえるよね」


 僕はできるだけにっこりと笑う。にっこりと笑いながらアリのネックレスや首筋を触ったりした。


「……ん?」


 アリが困惑している。アリはこんな顔もするんだなあ。


「これからはもっと分かりやすく愛することにしたから、アリはそれを感じてほしい」


「……はい……?」


 了承が取れた。ならば遠慮はしない。良いも悪いも関係ない。

 僕はアリの頭と腰に手をおいて強めに引き寄せ、唇を重ねた。アリが手で押し返そうとしていたがそれごと抱き締めて、好きなようにキスをした。食んだりチュッと音をならしたり、アリはだんだん力が抜けてきて口が開いたので舌をいれアリの舌に絡めた。気がすむまで絡めるとアリが僕にだんだんしがみついてきた。


「覚えていてね。僕はアリのものだよ。それと同時にアリは僕のものだよ」


 アリは顔を真っ赤にしながらこくこくと頷いた。

 うん。これからは遠慮はしない。


 侍女から夕食を告げられた。


「もうそんな時間か。わかった」


 ふぅ。根回ししたとはいえ、今から会食か。レオナルドが来るなあ……。


 僕はアリの手をとり、手の甲にキスをした。


「アリシア、行こう」


 僕はアリの腰に腕をしっかりと回した。

 今までは腕をそっと組む程度だったけれども、このまま広い廊下をアリの速度に合わせてゆっくりと食堂まで歩いた。

 頭の中ではレオナルドとのやり取りをイメージしながら。



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