45、エドワード王子 side 根回
アリシアに初めてキスをした。
僕はちゃんと笑えているだろうか。
アリシアを見ると顔に疑問が浮かんでいて、次第に頭痛がするのかこめかみをおさえ出した。
「アリ、どうしたの?」
「私は誰なのか……思い出せな……い」
アリシアは自分を思い出そうとして、一点を見つめたまま痛みを我慢しているように見えた。
「アリ! アリ!」
呼び掛けても反応がなく、いよいよ顔色がなくなり危ないと感じたので、かなり大きな声を出し、アリを強く抱き締めた。
「アリ……アリ、やめるんだ! 大丈夫。僕が側にいるから」
すると声が聞こえたのか、アリはやっと僕を見て、ゆっくりと呼吸をしだした。息も止めていたのだろう。
「私は……私を……どうして忘れたのでしょう?」
アリの背中をゆっくりとさする。アリが不安がっているのが見てとれた。
「大丈夫? アリは心配しなくていいよ。僕が側に一生いるから……」
とにかく安心させたかった。
「え……エドワード王子が?」
「アリ! 『エドワード様』だよ」
「エドワード様……」
「君は僕の婚約者だからね。一生側にいる」
「婚約者……?」
「そうだよ。君はアリシア、アリシア・スチュアートなんだ」
「スチュアート公爵家の?」
「そうだよ。スチュアート公爵家の長女だよ」
「スチュアート公爵家の長女……」
アリシアは一つ一つ確認するように繰り返した。繰り返す中でだんだん安定してきたように思えたので、アリに目元を冷やすように濡れタオルを渡し、私はアリを自室において、父上の執務室に向かった。
父上の執務室に行くと、先に連絡を入れておいたアリの父上であるスチュアート公爵もいて、僕の方からアリの話をした。
父上も公爵も治療を優先するために、僕の部屋に泊まらせることを了承してくれた。というのも、今のアリはなんにおいても未練がないため、簡単に今の地位も立場も状況も捨ててしまう恐れがあると公爵家の医師が言っていたからだ。
未練がないものほど、引き留めるのは難しく、一人でいるよりいいと判断された。
「ほんとうは公爵家でみたいのですが、アリシアはうちから逃げ出しましたからね。残念ですが、うちより殿下の方が良いのでしょう」
「そういうわけではないが、エドワードに任せてみないか?ここで逃げるようであれば婚姻は難しいと思うよ」
「殿下はアリをすぐに見つけてくださいました。信頼しています。 アリの対応はお任せします。ただ、レオナルドが口を出すと思います」
「それは私が引き受けよう」
「陛下がですか?」
「私からの方が納得するだろう。エドワード、がんばりなさい」
父上と公爵への根回しはできたようだ。
僕は挨拶をし、アリの待つ自分の部屋へと飲み物を片手に戻っていった。
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