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44、訪問

 

 侍女からレオナルドが到着した知らせがありすぐに通すように言うと、ものの五分でやってきた。


「エドワード王子、アリシアお待たせいたしました。

 アリシア、悪さはされてない?」


 お兄様はすかさず私の隣にぴったり座る。


「もっと小さいソファーに座っていればよかった」


 エドワード様が小さな声で愚痴る。


「レオナルドも来たことだし、お茶にしよう」


 侍女に頼んでいたお茶菓子や紅茶が運ばれると、甘い香りが部屋いっぱいにしてきた。


「アリはどれにする?」


 エドワード様に聞かれ、イチゴがふんだんに乗せてあるショコラタルトを選んだ。


「アリはいつもこれだね」


 ふわりと笑うエドワード様もとても甘く感じる。


「ずいぶん仲が良くなったようですね」


 お兄様がスッと目を細めて、少し低めの声で言ったかと思うと


「冗談はさておき、報告があります。アンジェリーナ嬢を通してタキレスたちが「一度お会いしたい」と申し出がありました。

 アリシアの状態はまだ伝えていません。いかがなさいますか?」


「これからもフォローを頼むから伝えた方がいいだろうが、現段階では早いと思う。学園への欠席理由は王家の都合としてあるし、もうしばらく待ってほしいとしたいがどうだろう」


「同意します。アリシアが混乱してしまいそうで……」


「医師に相談して最終判断しよう。アリ、心配しなくていいからね。会いたいと言ってきたものたちは親しくしていたものたちだよ」


「はい……」


「もしまた言ってくるようであれば、サイテスとタキレスには剣術の稽古のときに会うだろうからアリのこと以外を話そう」


「アリのこと以外をって何を話されるのですか?」


「僕のことで話せるとしたら執務が忙しいくらいか? アリが城にいることは王家とスチュアート家以外には極秘だからその辺はうまく言っておくよ」


「エドワード様にもお兄様にも、ご迷惑おかけしてすみません」


 私が頭を下げると、二人はそれぞれ「気にしないで」と言ってくださった。


 そのあとお兄様はエドワード様にお話があるとかで、私に聞こえない程度離れて五分ほど話された。二人ともとても真剣な顔をなさっていたので、何か大変なことが起きたのかと不安になるけれど、戻ってきた二人はいつもの優しい笑顔だった。


 その後代わる代わるにケーキを口に入れようとするので、私はケーキでお腹いっぱいになってしまい


「もう、もう無理です」


 ギブアップした。

 ケーキはおいしかったけれど、もう無理。


 お兄様は第六感が働いたのか、エドワード様の部屋を見たいとエドワード様に伝えたものの、エドワード様がやんわりとお断りされていたのは、ベッドの配置のせいかもしれない。


「うん。やっぱりパーティションを戻そう」


 お兄様が帰り、部屋に戻るなりエドワード様は侍女と一緒に配置を戻された。私は少しだけ寂しく思ったけれど、よくよく考えたら、昨日は同じベッドで寝ていたから元々配置は関係なかったことを思い出した。今日はどうなるのだろう。



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