41、宣誓
エドワード様に連れられて、食堂に着くと陛下や王妃様の他にスチュアート公爵、公爵夫人、レオナルド様もいらっしゃった。つまり、お父様、お母様、お兄様だ。
さっき黙って逃げたばかりなのですごく気まずい。
「先程はすみませんでした」
私はエドワード様のジャケットの裾を掴みつつ、指摘される前に頭を下げた。
「いや、記憶がないのに配慮が足りなかった。すまなかったね。
ところで、私たちが家族だということは?」
「はい、エドワード様から聞きました」
「エドワード王子のことは思い出したの? ずいぶん信用してるように見えるけど……」
レオナルドお兄様がすかさず質問するが私は首を横に振った。
「自分とどのように関わったのか思い出せないし、自分のことも思い出せません。すみません」
「いや、謝らなくていいし、無理もしなくていい」
お兄様は心配顔でいうから、私も申し訳なく思う。
「ひとまず話はそれくらいにして、食事にしよう」
陛下の声で食事が運ばれ、みんなで食べることになった。
私はエドワード様とお兄様に挟まれ、二人に世話を焼かれ、なんだか食べた気がしなかった。代わる代わる口に入れてくれなくても自分で食べられるのに。
記憶をなくす前もこんな感じだったのかしら……?
食事が終わっても陛下からは何も聞かれず、エドワードと仲良くね! とだけ言われ、今はそれがうれしかった。分からないことを聞かれることは今は不安になるからつらかった。
「そういえば、エドワード王子。アリと同じ部屋だとか?
父上や母上も許したのですか?」
レオナルドお兄様が、見回しながら目をつり上げている……。美形が怒ると怖い。
「……許すもなにも婚約者だし……。アリシアは一人にできないし……」
お父様がもごもご話していたが、行方不明になった私をエドワード様があっという間に見つけ、治療するために医師を手配したことにとても感謝しているらしい。
「レオナルド、記憶が戻るまでは見守りたいと言ったのは私だよ」
「陛下……」
「今までの二人を見てきて、二人なら乗り越えられると思ったし、経験上、二人の方が解決まで早いかと思ったのだが……」
「陛下がそこまでおっしゃるなら……。でもいつまでもってわけにはいきませんからね! まだ未婚なのですから」
「もちろん」
このことから一ヶ月の期間を目安に治療を進め、その間学園は休むことになった。
学園の学業はすでに習得済みなので大丈夫らしい。
「私は学園が終わったら毎日アリに会いにいきますからね」
お兄様の宣言にエドワード様の目が沈んでいった。
食事会が終わる頃、エドワード様が
「最後にいいですか?
僕はみんなの前で宣言します。これまでもこれからも、ただ一人の人としてアリシアを愛し守っていきます。どうか見守っていてください」
「殿下、結婚はまだですからね」
お父様がじとっとした目をして見ているが、エドワード様は爽やかに「もちろん」と答えていた。
私は突然のことにびっくりしつつも、うれしく思っていた。
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