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4、怖気

 

「え?」


 振り向くとドアが少しだけ開いていた。そのドアを開けてエマとエドワード王子が部屋に入ってきた。


「すみません、お嬢様」


 エマが小さく謝ったところを見ると、エドワード王子が付いてきたのかもしれない。


「エドワード王子……」


「すまん。聞く気はなかったのだが聞こえてしまって」


「い、いえ……」


 突然のエドワード王子の訪問に私の心臓は早鐘を打つようにドクドクしていた。

 なぜ二日連続で……?

 そんなこと今までに一度もなかった。


 エマはベッドサイドにイスを用意し、エドワード王子を案内し、テーブルに紅茶を用意するとドアを少しだけ開けて退室した。



「アリ、体調はどう?」


「ベッドの上からで申し訳ありません。昨日は本当にご迷惑をおかけしてすみませんでした。しばらくは安静にするようにと家の者から言われております」


 一気に捲し立てたが、下を向いたまま顔をあげられずにいた。


「そう。しばらくは安静なんだね。それならレオナルドと婚約したかったというのは?」


「ふ、深い意味はないのですが、いつか兄にも婚約者ができるのかと思ったら急に寂しくなりまして……」


「兄思いなんだね。でもアリは僕の婚約者だから誤解されるようなことは言ってはいけないよ」


「は……い……」


 エドワード王子の声はとても優しい。優しいけれど震えが止まらない。なんとか気づかれないように、震えないよう力を入れている手を毛布の下に隠した。


「アリ?」


「は……い……」


「僕は怒ってるわけじゃないよ。顔をあげて?」


 ロボットみたいにぐぎぎぎと顔をあげると、ふわりと笑うエドワード王子がいた。


「やっと顔が見えた」


 私の心臓は持たなかった。涙が溢れ、心臓のドクドクが最高潮になり、気絶するように意識を手放した。


「アリ! アリ!」


 エドワード王子の声を遠くに聞きながら……。



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