38、反復
「どこまで話したかな?」
「エドワード様も私も勉強に励んでいたと」
「あぁ、そうだったね」
エドワード様は穏やかに話す。この優しい笑顔を見るとなんだかドキドキする。
「十三歳になったある日、アリは数日間熱をだしたんだよ。熱が下がった知らせを受けて見舞いに行くとどことなく様子が変でね……アリは前世の夢を見たと言い出したんだ……」
「前世の……?」
「うん。同じ人生を繰り返しているとアリは言っていたよ。そして前の生では僕に愛されることなく処刑されていたと……」
「しょ、処刑……ですか……」
「アリは最初、今世でも僕に愛されることなく処刑されるのではと怯えていたけれど、僕はこの通りアリを愛している」
愛していると言われると顔が赤くなる。
「でもアリは……アリは、僕が他の令嬢をすきになるのだと思い込んで……いたようだよ……」
あぁ、だから私は私の記憶をなくしたのね。自分が傷つかないようにエドワード様から逃げ出したのね。
「なんとなく私の事情がわかりました……」
「だからね、もっともっと分かりやすく愛することにしようと思ってね……」
「……ん?」
「僕の愛が伝わってないから、アリが疑ったのだとしたら……それなら、もっと分かりやすく愛したら信じてもらえるよね」
エドワード様はにっこりと笑う。にっこりと笑いながらエドワード様は私のネックレスを触ったり、首筋を触ったりした。
「……ん?」
何かが違うような、合ってるような……。
「これからはもっと分かりやすく愛することにしたから、アリはそれを感じてほしい」
「……はい……?」
そういうと、エドワード様は私の頭と腰に手を置いて、エドワード様の方にぐっと引き寄せて唇を重ねてきた。離れようとしても動けず、唇を付けたり離したり、食んだり、舌でペロッとなめられたり、だんだん頭がぼーっとしてきた。ぼーっとして口が微かに開くと、エドワード様の舌がにゅっと入ってきて、私の舌にこれでもかと絡む。
しばらくしてキスが終わったときには、私は恥ずかしさと気持ちよさとが混ざって、腰が抜けそうになりながらもエドワード様にしがみついていた。
「覚えていてね。僕はアリのものだよ。それと同時にアリは僕のものだよ」
独占欲だろうか。エドワード様の強すぎる言葉にくらくらしながらも、こくこくと頷いた。
エドワード様は私のもの。私はエドワード様のもの。
暗示のように、私の中に入っていった。
ノックの音がし、エドワード様が入室を許可すると侍女から夕食を告げられた。
「もうそんな時間か。わかった」
侍女に伝えて退室させると、エドワード様は私の手をとり、手の甲にキスをした。
「アリシア、行こう」
手を引かれ、ソファーから立ち上がると、エドワード様はすかさず腰に腕を回した。
私たちは広い廊下を歩く。王城内とはいえ、私たちの回りには近衛騎士がいて人目があるのだが、それをものともせずぎゅっとひっついて歩いていた。
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