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36、愕然

 

 エドワード王子に私はキスをされた。どうして……?

 私はいったい誰なんだろう。エドワード王子との関係は?なんで思い出せないのかしら……。自身を思い出そうとすると頭痛がし、霧がもやもやと出てくる。

 私はたまらずこめかみを押さえる。


「アリ、どうしたの?」


「私は誰なのか……思い出せな……い」


 エドワード王子に話しかけられても、それどころではない。でも思い出さないとダメだ!片目をつぶり、痛みを逃そうとするも頭からズキズキと音が聞こえそうなほど痛くなるだけだった。いつの間にか全身から血の気が引き、痛みで気絶しそうになったころ、エドワード王子の声が聞こえた。


「アリ……アリ、やめるんだ! 大丈夫。僕が側にいるから」


 すると力がスッと抜けて、痛みが消散した。私はあまりの痛みに呼吸することを忘れていたらしく、呼吸を整えるためにゆっくりと深呼吸をする。


「私は……私を……どうして忘れたのでしょう?」


 エドワード王子は私を抱きながら、私の背中をゆっくりとさする。


「大丈夫?アリは心配しなくていいよ。僕が側に一生いるから……」


「え……エドワード王子が?」


「アリ! 『エドワード様』だよ」


「エドワード様……」


「君は僕の婚約者だからね。一生側にいる」


「婚約者……?」


 私がエドワード様の婚約者?


「そうだよ。君はアリシア、アリシア・スチュアートなんだ」


「スチュアート公爵家の?」


「そうだよ。スチュアート公爵家の長女だよ」


「スチュアート公爵家の長女……」


 私はバカみたいに復唱するばかりだった。

 私がアリシア・スチュアート……。

 公爵家の人が言ってたのは本当だったのか……。


「あ! 私、公爵家を逃げ出して……」


「うん。大丈夫。僕が保護したこと、王城で治療していくことは伝えたから」


「治療……。私はここで治療をしていくのですか?」


「うん。この部屋は僕の部屋だから遠慮はいらないよ。あとで僕の父上に挨拶に行こう。その前に少し目元を冷やさないとね」


 そういうと、エドワード様は濡れタオルを用意してくださった。


「しばらく横になって目元を冷やしてて。僕は少し席を外すね」


 エドワード様は部屋を出ていかれた。一人になった私は部屋の中を見渡す。無駄なものがないスッキリとした部屋だった。

 あ、目を冷やさないと!

 横になり目の上に濡れタオルを乗せた。


 しばらくすると扉が開く音がした。


「アリシアちゃん!」


 呼ばれる声がして、タオルを取り起き上がると王妃様がいらした。

 お、王妃様!


「アリシアちゃん、ベッドから降りなくていいわ。そのままで。エドワードになにかされたの?大丈夫?」


「えっ……。いえ、エドワード様にはよくしていただいて……」


「まあ、それなら何が原因かしら? エドワードが原因なら私に言ってね。いつも言ってるけど、わたくしと陛下はアリシアちゃんの味方よ!」


「あ、りがとうございます……」


「何かほしいものがあったらエドワードに言ってね。用意するから! 服はさっきスチュアート公爵家から届いたから今から持ってこさせるわね」


「はい、ありがとうございます」


「陛下への挨拶は夕食のときでいいわよ。じゃ、またね~」


 嵐のように王妃様が去っていった。

 あれ?なんか懐かしいような、知ってるような……。


 しばらくすると、エドワード様の衣装部屋に私が着る服が運び込まれた。



 私、エドワード様の部屋に住むのかしら……?


 え……?



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