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34、エドワード王子side 愕然

 

「アリ、ゆっくり息をするんだ!」


 気がついたときにはアリは過呼吸を起こしていた。肩を掴んだのと気を失ったのは同時ぐらいだったと思う。


「レオナルド、医師の手配を! 僕はアリを部屋へ運ぶ」


 アリの母上である公爵夫人は、エマに指示をし、エマは先導するように扉を開けた。


「エドワード王子、こちらにお願いします」


 僕はエマについていった。アリの部屋ではなく、1階の客間で医師の診察が受けやすいように配慮したようだった。


 僕はアリをベッドにゆっくりと下ろして寝かせた。寝息は落ち着いているように思う。

 レオナルドの連れてきた医師に診てもらったのち話を聞くと、強いショックや、不安があると過呼吸を起こすことがあると伝えられた。気を失うほどなので、よほど強いショックがあったのかもしれない。


 アリはその後高熱を出した。一旦目覚めたらしいが、すぐにまた眠ったらしく、それから三日ほど高熱は続いた。


 見舞いに行き、しばらく様子を見てから帰るというのを繰り返した。その間、アリはもちろん僕も学園は休んだ。とてもじゃないがアリがこの状態では通う気にならなかった。


 解熱した知らせは4日後だった。知らせのあと、すぐに公爵家に向かうも公爵家の様子がおかしい。

 公爵から、自身に関する記憶をなくしたままアリが屋敷から隙をついて消えたと伝えられた。記憶をなくしたというより、自身の存在をなくしたようで、初めからいないものだと思っていたらしい。

 そして聞けば三十分ほど前にいなくなり、貴族街を探しているのだとか。


 僕も探しに行こうと馬車に乗り市井の方向に向かった。理由は記憶がないなら、アリは他の貴族に助けをお願いするとは思えなかったからだ。


 案の定すぐに見つけることができた。

 キョロキョロしているアリの腕を後ろから掴んだ。


「アリシア、どこに行くの?」


 アリはびっくりした顔をしつつ丁寧に挨拶をした。


「はじめてお目にかかります」


 聞いてはいたが……僕は目の前が真っ白に飛んだ。

 僕に『はじめてお目にかかる』と言ったのだ。

 嘘でしょ? 僕はアリをぎゅっと抱き締めた。


「あ、あの……だれかとお間違えではないですか?」


 アリはほんとうに自分のことを、アリ自身のことを忘れたんだ。


  「失礼します」


 アリが僕から逃げようとする。そんなこと許せるわけないのに。


「ごめんね、アリ。僕はアリを放してあげられないんだ。僕と一緒に来てもらうよ」


 僕はアリの腕を掴んだまま強引に馬車に乗り込んだ。逃がさないし放さない。放せない。

 馬車が王城につくと、アリは動揺していた。目的は治療のための診察だ。そう伝えてもなお動揺したままだった。父上と公爵に使いをだし、アリと医務室に向かう。



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