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29、タキレス・ケイフォード side 予言

 

 私はタキレス・ケイフォード。

 ブラッドリー・ケイフォード公爵の次男であり、エドワード殿下の側近候補である。

 同い年ということもあり、エドワード殿下とは小さい頃からの付き合いで、共に励んできた。


 エドワードは十三歳になったある日、私に質問をしてきた。


「タキレス……君の婚約者はどんな人だ?」


「婚約者?」


 エドワードから婚約者の話が出たのは初めてで少し驚いた。


「アンジェリーナは回りから少し怖いと思われがちだが、とても優しく人に気を使う子だよ」


「そうか。相手のことをよく見ていてタキレスらしいな」


「エドワードはどうなんだ?」


「僕は今、後悔してるところさ」


 え? 後悔?

 詳しく聞きたかったが、剣の先生がいらっしゃったので、おしゃべりも終了した。

 確か、エドワードの婚約者はアリシア嬢であったな。後悔とは心中穏やかではないな。まだ会ったことはないけれど、後悔するほどひどい令嬢なのだろうか……。


 それからのエドワードは毎日のように婚約者と交流をしていたこともあり、私の懸念は杞憂に終わったようだった。しばらくすると、私にも紹介するといい、アンジェリーナやサイテスらも呼んでいた。


「スチュアート公爵家が長女のアリシア・スチュアートです。よろしくお願いいたします」


 丁寧に挨拶をする銀髪で青い目をした少女はとんでもない美少女で、剣の稽古でよく会うレオナルドにも似ていた。とても美形な兄妹だというのがよく分かる。


 アリシア嬢は王妃教育が終わったのも頷けるほどしっかりしているように見えるが、指が震えているのを見てしまった。


 すかざず、エドワードが手を握り何かを話しかけるとふわりと笑顔になった。

 なるほど、エドワードの後悔はこの辺りからくるのであろう。大方、交流をずっとしてこなかったことを後悔しているのだろう。


 紹介された四人とアリシア嬢は学園に入る前に何度かお茶をした。

 アリシア嬢の控えめな態度や優しい笑顔、それを見るエドワードの様子に四人は次第に惹かれていった。アリシア嬢が好きとかではなく、二人の雰囲気や空気間がとても心地よく感じるのだ。


「エドワード、まだ後悔してるのか?」


「これまでのことで後悔はいつもしてるよ。だからこれからのことは後悔したくないから僕はがんばるしかないんだ」


「そうか」


 私の幼馴染みはまだまだがんばるらしい。エドワードが婚約者に会いにいった分、夜遅くまで頑張っていることを知っているからこそ、私も努力しようと思った。


 入学式が終わり、アリシア嬢の様子がおかしいことに気づいた私たちに、宰相殿から呼び出しがあった。アリシア嬢について話を聞いたが、正直なところ驚愕だった。


 が、入学式の様子を見る限り本当なのだろう。エドワードの努力も頷ける。

 宰相殿と私たち四人はいかに二人を守るか話し合い、二人のどちらも必ず一人にしないことを確認しあった。


 あの二人を守るために。


 授業初日は学園内の案内で終わり、馬車の待機所までエドワードたちを送る途中、誰かがあとを付けてきているのを感じた。

 アンジェリーナに誰かが体当たりしようとしたので、くるっと一回りして避けたら体当たりしようとした女生徒が転けて倒れこんだ。


 エドワードたちはすぐに馬車に乗り帰ったが、私たちは騎士を呼び、この女生徒を拘束するように頼むと女生徒は唸るように言った。


「私はエディに愛されてるのよ! 無礼だわ。手を離しなさい!」


 呆気にとられ力が緩んだすきをついて逃げ出した女生徒は、よく見ると昨日の遅刻してきた女だった。


 これが宰相殿が言っていた予言だろうか。とりあえずあの女生徒を調べてみようと思う。



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