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26、エドワード王子 side 事情

 

 レオナルドの部屋に移動すると、レオナルドの侍女が紅茶とお菓子を用意して退室していった。


「エドワード王子、あの女がアリシアの前に現れたのですね?」


「現れたというか、入学式がもう終わるというときに、あろうことか扉を勢いよくあけて、遅れてすみませんと叫んだんだよ」


「え……?」


「僕は本人を知らなかったのだが、叔父上が教えてくれて、急ぎアリを連れ帰ったんだよ。

 サイテスらには事情を話してなかったから、アリの様子にかなり驚いていた」


「話しますか?」


「それは父上や公爵と相談してからの方がよくないか?」


「それもそうですね」


「では城に戻ったら相談しておく。それにしても……あの女生徒とアリでは比べ物にならないくらいだったよ……。僕の前世とやらは頭がおかしかったのかもしれない……」


「エドワード王子……」


 僕の落胆ぶりに珍しくレオナルドは慰めてくれ、最後は励ましてくれた。

 アリの顔を見てから城に戻ると、執事の方から父上のところを訪ねるように伝えられた。


「父上、失礼いたします。ただいま戻りました」


 父上はちょうど昼食中であったが、母上や公爵もいたので顔を出した。


「エドワードも食べなさい」


 侍女に食事を用意してもらい同席する。僕が落ち着いたころ父上は食事をしつつ、ゆっくり話した。


「例の子が遅刻してきたらしいね」


「はい。その件についてですが、サイテスら側近候補とエミリー嬢は学園でのほとんどを一緒に行動するので、例の生徒のことを話しておきたいのですが……」


 僕は父上と公爵を順番に見た。


「そうだね。話しておくにしてもどう話すかはランに任せてほしい。被害者、加害者を無理に作ってはいけないからね」


「はい……」


 うっかりしていた。なにもしていないなら彼女はまだ断罪すべきではない。僕は危うく冤罪を作り出すところであった。


「公爵、今日の午後にサイテスらを呼び出しています。同席していただけますか?」


「承知しました」


 そのあとはアリシアの様子を話したり、学園での僕の対応の仕方を話されたりしつつ、昼食を終えた。


 侍従に手紙を出してもらい呼び出したサイテスたちが城のサロンに来た。サイテス、タキレス、婚約者のエミリーとアンジェリーナの4人だ。


 あらかじめ、宰相の部屋に来るように言われていたので四人を連れて行くと、四人はとても緊張して入室した。


「殿下、どうして宰相様と?」


 タキレスが小声で聞いてきたところ、


「すまないね。我が娘、アリシアのことで話があってきてもらった。今から話す内容はたとえ親だとしても他言無用だが、できるか?」


 四人を見るとそれぞれが真剣な顔で頷いた。


「殿下、私から話しておきますので、殿下は陛下の執務室にお願いします。陛下がお呼びです」


「わかった」


 先程まで話していたのに何の用事だろうか。父上の執務室に着くと父上は紅茶を入れて待っていた。


「エドワードすまないね。ランが話すのにエドワードがいない方がいいと思ったからね」


「まあ、それは予想できてましたのでいいのですが……それはそうと、いつの間に学園長がかわったのですか?私はてっきりお祖父様がいらっしゃるとばかり思ってました」


「父上が隠居したいと何年もおっしゃっててね。今ごろは母上と旅行にでも行ってらっしゃるのではないかな。まあ、アルは理解もあるし最適でしょ?」


「いやまあ……心強い方です。ただびっくりしました」


「アルには事情を話してあるから安心していいよ。クラスも分かれるようにしておいたから。といってもAクラスに入れる実力はなかったようだよ」


「それを聞いてホッとしました。同じクラスではアリシアの心が持ちません」


「そうだね。エドワード、しっかり守ってあげるんだよ」


 父上と話していると公爵が来て、話が終わり四人をサロンに向かわせたと知らせてくれた。


「では、私もサロンに向かいます。ありがとうございました」


 丁寧に挨拶をし、サロンに行くと、四人が一斉に僕の方を向き哀れんだ顔をした。


 公爵……なにを言ったのだ?


 なぜかやたらと励まされる。四人は僕とアリシアの味方だと強調し、今後の話を詰めていく。

 なんだろう、この空気……。


 なぜか分からないが使命感を持って四人は帰っていった。


 公爵、なにを話した?




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