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25、エドワード王子 side 危惧

 

 式も終わろうかというときに、後ろの扉が勢いよく開いた。女生徒が


「遅くなりすみません!」


 と大声で叫んだがありえない。厳かな式をなんだと思っているのか。

 騎士がすぐに連れ出したが、僕は不快に思っていた。


「エドワード、あれが例の生徒だよ」


 ふいに隣の席の叔父上に小声で話しかけられた。


「えっ……」


 僕は閉じられた扉を見て、先程の出来事を思い出す。


「あれが……」


 急にアリが心配になりアリを見るとうつむいていて表情が見えなかった。このような式でうつむく姿勢をするようなアリではない。

 早く式が終わるのを願っていると、司会がさらっと閉会の言葉を言い、一斉に生徒は教室に向かった。


「叔父上、アリシアが心配なので失礼します」


「わかった。今日はもう帰っていいよ。レオナルドも呼び出しておくね」


 事前に父上から叔父上に話が通っていたのかスムーズにいったが、サイテスたちにはまだ話していない。

 急いでアリのところに向かうとサイテスがアリに話しかけていたが反応がないようだった。


「サイテスすまない。僕が対応する。叔父上に帰る許可をもらったから僕とアリはレオナルドと帰るよ。

 サイテス、タキレスはエミリー嬢と教室に行ってくれ」


「ではレオナルド様がいらっしゃるまでここにおります」


「いやいいよ。馬車までは騎士に護衛を頼むから。きみたちは僕らの分も話を聞いてきてくれ。

 それと、今日の午後、時間を取るからまた会おう」


「承知しました」


 僕の指示通りサイテスたちは教室に移動すると、僕はアリを横抱きにし、騎士に護衛についてもらい馬車の待機所に向かった。

 アリは少し震えていて血の気が引き、顔色がとても悪かった。


 馬車に乗り込むと、アリを横抱きにしたまま僕の膝の上に乗せた。アリはいやがることもなく動かない。


 しばらくすると侍従からレオナルドが着いたことを告げられ、レオナルドはすぐに馬車に乗り込んできた。


「エドワード王子、遅くなり申し訳ありません」


 レオナルドは向かいに座るとアリの顔を覗きこみ驚いた顔をしたあと、侍従に馬車を出すように頼んだ。


 馬車に乗っている間、誰も何も話さず、馬車がスチュアート家に着くと、レオナルドが先導してアリの部屋まで行き、僕はアリをベッドにそっと下ろした。


「アリ、大丈夫だよ。僕はアリシアだけを愛しているからね」


 僕はアリに声をかけ手を握ると、アリは青白い顔をしながらも頷いた。

 レオナルドもアリの頭を撫でて落ち着かせようとしている。

 次第にアリの顔色はマシになり眠ってしまったので、しばらくいた後、アリの専属侍女のエマにアリの側にいてもらい、僕とレオナルドはレオナルドの部屋に移動した。



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