23、対面
ついに学園に入学する日がやってきた。
学園にはエドワード様が私の屋敷まで迎えに来て、私とお兄様を乗せてから学園に行くことになっている。
「アリシア、早く食べないと殿下がいらっしゃいますよ」
お母様に急かされるも、食事がなかなか喉を通らなかった。
「母上、急かしてはいけません。アリは緊張してるからほぐしてあげないと」
そういうと、お兄様ははい、あーんと朝食の玉子炒めを口に入れた。
「もう! 小さな子どもではないのですよ?」
私は怒りながらももぐもぐと口を動かした。お兄様はほらね? というジェスチャーをお母様にしてみせた。
なんとか食事も終わり、支度を終え玄関で待っているとエドワード様がいらっしゃった。
「おはよう、アリ、レオナルド」
「おはようございます」
「いよいよ入学式だね。今日からよろしくね。では行こうか」
エドワード様は腕を差し出したので、「よろしくお願いします」と腕をとり、馬車に乗り込んだ。
学園に着き、エドワード様のエスコートで降りると、エドワード様の側近候補である騎士団長の息子のサイテス・シドニー伯爵令息と、同じく側近候補である、財務大臣の息子のタキレス・ケイフォード公爵令息が控えていた。
「おはようございます。エドワード殿下、レオナルド様、アリシア様」
「うん、おはよう」
「おはようございます」
サイテスとタキレスは二人の婚約者も含め一ヶ月ほど前に顔合わせをし、その後も何度か顔を会わせている。
私たちのまわりがエドワード様に気付き急に騒がしくなってきた。人だかりになりそうだったので、園内を知っているお兄様は私たちを、今日だけ控え室となっている教室に案内して下さった。
「入学式が始まるまではここにいるといいよ。私は先生に伝えて自分の教室に行くから。じゃ、アリシア、またあとでね」
お兄様はそういうと、教室を出ていかれた。
この教室はエドワード様のための控え室になっていたようで、私たち以外には誰も来なかった。
「サイテス、エミリー嬢はどうしたの?」
エミリー嬢とはサイテス様の婚約者でエミリー・ジョセレイン伯爵令嬢のことである。
「連れてきてもよろしいでしょうか?」
「まだ時間もあるし大丈夫だよ。行っておいで」
「では失礼いたします」
エミリー様も同じ年で学園の入学は一緒になる。
ちなみに、タキレス様の婚約者のアンジェリーナ・オルコット公爵令嬢は二つ上の学年で、レオナルドお兄様とは同じクラスである。
サイテス様とは入れ違いに学園の学園長が訪ねてきた。他にも先生を引き連れていたので、お兄様が知らせてくださったのだろう。
「エドワード殿下ようこそいらっしゃいました。私が学園長のアルフレッド・グレイスリーでございます。よろしくお願いいたします」
丁寧な挨拶のあとエドワード様は
「叔父上、なにをやってるのですか……」
あきれた顔をしてため息をついた。
「叔父上、お久しぶりです。お元気でしたか?」
「ふふっ、エドワード大きくなったね。主席合格も偉いぞ!」
というと、エドワード様の頭をグシャグシャにした。
「叔父上、お止めください!」
なんだかうれしそうなエドワード様がかわいく見えて、私の顔は少し赤くなった。
「君はアリシアかな? 小さい頃に会っただけだから覚えてないかな?」
「アリシアにございます。アルフレッド殿下、もちろん覚えております」
「そうか。二人ともよくがんばってるね。学生の期間は短いのだから楽しみなさいね。
それとエドワード、新入生代表の挨拶がんばるんだよ。では後程ね」
そういうと、ウィンクをして他の先生とともに教室を出ていった。
エドワード様と顔を会わせるとクスクスと笑いだした。
「叔父上が相変わらずで、おかげで緊張がほぐれました」
「エドワード様、緊張なさってたのですか?」
「緊張するよ。アリがいなかったら帰りたいぐらいには」
「エドワード様でも緊張なさるのですね。私と一緒ですね」
うれしくなってニコッと笑うとエドワード様は私を抱き締めた。
「アリがかわいすぎる……」
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