16、エドワード王子side 思惑
アリといるときはアリへの愛を語り、アリをそっと抱き締め、そして笑顔でいる。それをただひたすら繰り返すことにした。
夢を見だしてからのアリは自己肯定力が低くなったようだ。夢のせいであることは明白だが、夢を止めることはできない。それなら、ひたすら愛していることを伝えるしかない。
今日は午後からアリに会いに行った。アリから私への恐怖心が減ったのか震えることがなかった。マイナス感情をプラスにするのはなかなか難しいが諦める気はない。ただひたすら愛するだけだ。
今日のアリもかわいく、僕が愛していると伝えると顔を真っ赤にしていた。いい傾向だと思う。というよりも、僕がどうにかなりそうだ。アリがかわいすぎる。
優しい笑顔で、優しい笑顔で、優しい笑顔で!
三回唱えてアリに話しかける。
怖がらせないように慎重に。
夕方になり、帰りたくはないが帰る時間になりアリと分かれ玄関まで行くと、アリの専属侍女のエマからレオナルドが面会を申し込んでいると聞いた。いつも僕に威嚇してくるのに珍しいこともあることだ。
「いいよ。今から会うよ」
レオナルドの部屋に行くと、レオナルドの専属侍女が紅茶を入れてくれた。レオナルドは人払いをし、紅茶を一口飲む。
「エドワード王子、単刀直入にお聞きします。アリシアに何が起きたのですか?」
レオナルドから切羽詰まったような雰囲気が漂っていた。
「どうしてそう思う?」
「アリシアは熱を出してから変わりました。だんだん生きる気力が減っているようにも感じます。夢見が悪いようで顔色も悪く、昨日は無意識に首を切ろうとしました」
「え……?」
僕はレオナルドの言葉に絶句した。
「首……を? アリは爪で引っ掛けたと言っていたが……?」
「私とエマとでそう思わせました。発作的な感じで私が気付き止めなければ今頃死んでいたでしょう」
レオナルドは自身の包帯をした手を見せながら言った。
「そうか、それで侍女が部屋につくようになったのか」
「おっしゃる通りです」
僕は理由を話した方がいいかどうかを悩んだが、協力をしてもらうにはリスクもある。しばらく悩んだのちレオナルドに話すことにした。
「レオナルド、今から話す内容は他言無用だ」
「……分かりました」
「実は信じられない話ではあるのだが、アリは同じ人生を三回過ごし、今世は四回目だそうだ」
「はい……? そんなことが……?」
「僕もよくは分からないのだが、夢に見るのだそうだ。一度目、二度目は処刑され、三度目は国を追放され事故死したそうだ」
「夢で……」
「そのすべてに僕とマリアンナ・ブラウニング男爵令嬢というものが関わっているらしく、すべて冤罪での判決だったらしい」
僕はアリのノートの内容を話した。
「冤罪? 男爵令嬢?
男爵令嬢とエドワード王子に今、接点があるのですか?」
「それが、アリが言うには学園に入学したときに出会うと。僕の方でブラウニング男爵を調べたがマリアンナという者がいなくて、どうしたものかと思っていたのだ」
僕は紅茶を一口飲んだ。
「マリアンナ・ブラウニング男爵令嬢が実在しな……い?」
僕は頷く。
「それなら、アリシアは一体何を見て……」
「アリを信じるなら学園に入学したときに男爵令嬢はいるはずだ。だからそれまでに僕はアリと心を通わせたいと思っている。アリが何も心配しなくてもいいように、人生を変えてやりたい。レオナルド、協力してくれないか?かわいいアリシアのためにも」
「それならエドワード王子が今婚約解消すればアリシアは狙われないのでは?」
レオナルドは冷ややかに言う。
「それでは、何かあったときに守れないではないか。男爵令嬢の話を知った時点で運命は動いたはずだ。知ったのなら対策を立てて全力で守るべきだろう?」
「……エドワード王子はアリシアのことをどのように思っているのですか?」
「愛しているに決まっているだろう。そのために勉強に剣術に頑張ってきたんだ。今は有事だからアリを優先しているけどね」
「エドワード王子はそのように……。少々誤解しておりました。今までの態度、申し訳ありませんでした」
「いや、かまわない。すべてアリのためだからね。レオナルド、協力してくれるか?」
「分かりました。できる限り協力します」
「ありがとう」
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