151、サイテス・シドニー side 画策
今日のお昼休憩にお菓子パーティーをするとかで、エミリーは昨日から笑顔がたえなかった。
「サイテス様にも持ってきたので食べてくださいね」
馬車のなかでニコニコしながらエミリーが渡してくれた紙袋にはいつかくれたのと同じマカロンが入っていた。
「うん、うまっ!」
さっそく手掴みで食べると、エミリーはクスクス笑っていた。
「エミリーも食べなよ」
袋の中からピンク色のマカロンを一つ取り出し、エミリーの口に持っていくとパクっと一口食べてくれた。残りを私の口に放り入れると、エミリーが顔を真っ赤にしていた。イチゴの味がした。
昔、殿下がアリシア様にケーキを食べさせていたときはびっくりしたものだが、この行為は悪くない。今ではエドワード様が勧めたことに完全同意だ。エミリーのかわいいが溢れてくる。
今度はクリームの乗った緑のマカロンをもう一つ取り出しエミリーの口元に持っていくと、目をつぶりながらパクっと一口食べてくれた。エミリーには少し大きかったからか口元にクリームがついたのを私がペロッと嘗めとると、エミリーは真っ赤になって固まった。かわいいなあ。
「クリームがついてたよ。一緒に食べるとおいしいね」
すかさず声をかけると、エミリーはこくこくと真っ赤になりながらも頷いてくれた。かわいいが溢れてくる。
教室につくと、クラスの担任であるサフォーネ先生が午後は休講になったことを告げた。
「今日はお茶会だったよね。学園は休講になったから、城でやるといいよ。部屋を用意する」
殿下が女子会のお茶会のためにわざわざ城に部屋を取って下さるという。なんてお優しいのだろう。アリシア様、アンジェリーナ様、エミリーは順に礼を言った。女の子三人が楽しみだと話している間、私たちはいつものように男四人になり、殿下は更に提案した。
「僕たちもお茶会しようか? 最近は忙しかったし、僕も少しゆっくりしたい」
「エドワード、少しわざとらしいぞ」
「タキレス、大丈夫だよ」
ウィンクする殿下と苦笑いしているタキレス様を見ていると今回の件で何か画策していたらしい。
「ま、今日はみんな少し働いてね」
殿下は私とバートに向けてウィンクをした。何を画策しているのだろう?
「働くと言えば、執務は終わったのか?」
「だいたいね」
「あの量をよく終わらせたな」
「そんなでもないよ」
ふふふっと笑う殿下と驚くタキレス様。タキレス様が驚くぐらいの量をこなして平然としている殿下に、私はただただ尊敬する。
◇
午前の授業が終わり、各自城まで移動した。エミリーは笑顔で馬車に乗り、楽しみで仕方がない様子。
「エミリー、私も参加したいのだけど?」
「サイテス様、今日は女の子だけですよ!」
「ダメか?」
「ダメです!」
そうか。ダメか。
がっくりとうなだれるようにエミリーの肩に倒れ込むと、エミリーが「サイテス様、珍しいですね」と言いながら頭を撫でてくれた。あー、エミリー、かわいい。
城について通された部屋は以前よくお茶会をしていた部屋だった。
「アリシア、用意するからしばらくこの部屋で待っててね」
殿下はそういうと、アリシア様たちが持参したお菓子を受け取り、私らを連れて部屋を出た。
「じゃ、準備しようか?」
?
何をするのだろうと思っていると、執事服に着替えるように指示をされ、殿下までもが一緒に着替えた。
「さあ、僕たちは今からアリシアたちの執事だよ」
アリシア様たちが持ち寄ったお菓子は侍女により、皿にきれいに並べてあり、さらに城で用意したと思われるものも追加されていた。
「私たちで運ぶのですね」
お茶会の場には入れないと思っていたので、こんな姿でもなんだかうれしくなる気持ちを押さえながら殿下に聞いた。




