14、レオナルド・スチュアートside 心配
私はレオナルド・スチュアート15歳。
14歳から首席で学園に通い、宰相の息子として何事にも手を抜かずに勉強、剣術共に頑張ってきた。その辺の騎士にも負けないくらいの実力もある。
妹のアリシアが生まれてからというもの、私の心はいつも満たされていた。何をしてもかわいいアリシア。おっちょこちょいでたまに抜けてるアリシア、元気いっぱいなアリシアがとても可愛くて大好きだった。
ある日、エドワード王子との婚約の話が出た。家柄からすると釣り合うのがうちぐらいしかないから仕方がないのかもしれないが、まだ5歳だというのに……。私は最後まで反対したが、子どもの言い分が通るはずもなく、アリシアは婚約することとなった。
まだまだ小さいのに王妃教育が始まり、一日の大半を勉強に費やしていた。アリシアは弱音もはくことなく、私から見てもほんとによくがんばっていた。
その間、エドワード王子は、アリシアを訪ねてくることもなければ、お茶に誘うこともない。婚約が決まって以来ほとんど会わないまま月日が経った。
やがて、13歳になったある日、アリシアは三日間も意識を失ったままだった。なんの病気か分からないまま、その後も倒れたり発熱したりした。アリシアは気がついていないようだが顔色も常に悪く、伏し目がちになっていった。
はじめはエドワード王子に何かされたのかと思っていたが、エマの話を聞くと、エドワード王子に慣れて話しかけたいがためにエドワード王子の絵姿を熱心に見たり、倒れたことにより婚約解消を心配したりしていたと聞く。少なくともアリシアはエドワード王子に好意を持っていたようだ。
エドワード王子の方はとりあえず嫌っている様子はなかったが、好意があるかどうかはよく分からない。
それから度々うなされているアリシアを見かけたが、一度本人に聞いたら全く覚えてないと演技をしていた。言いたくないようだった。
今朝はエマからアリシアは熱があると伝えられたこともあり、アリシアの様子を見に来ていた。アリシアは寝ていたが、やはりうなされていて、起こした方がいいのか迷っているうちに急にアリシアは目を開け、ふらふら歩いていく。
「アリ、アリ? どうしたの?」
声を掛けても反応がなく、アリシアはキッチンに行くとナイフを取り出し首に当てた。
とっさにナイフの刃を手のひらで受け止めたら、アリシアは私の方を見て目を見張った。
私はナイフを取り上げると、アリシアは気を失ったようで崩れ落ちようとしたので、ナイフを持たない方の手で支えた。
「アリ? アリ!」
呼び掛けに反応がない。私はナイフを置き、アリシアを抱えベッドに寝かせる。
もともと小柄なアリシアだが、さらに痩せたようでとても軽い。
私はエマに救急箱を頼み持ってこさせると、アリシアの手当てをした。幸いなことに、刃を当てたときについた傷のみで、これなら数日もあれば消えそうであった。
私の方は血が流れていたので止血して薬を塗り、上から包帯を巻いた。
エマが事情を知りたそうにしていたが、何も聞かずに退室した。良くできた侍女である。
私は再び、アリシアが寝ているベッドの側のイスに腰を掛ける。
「アリシア……何があったんだろうね」
しばらく頭を撫でているとアリシアの表情が柔らかくなり、内心、少しホッとした。
「正直に話してくれるといいけれど……何も言ってくれないだろうな……」
私は頭を撫でながら、アリシアを見つめた。
基本シスコンお兄ちゃんです。
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