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133、シン side 懸念

 

 なにか忘れてるような……?

 ま、いいか。


 マーク先生とキースニン先生はレオナルド様の様子を見つつ治療をしていたが、レオナルド様は相変わらずピクリとも動かない。しばらくするとマーク先生が私の方に来た。


「シン、ちょっといいかな?」


「はい……」


 マーク先生は真剣な顔でレオナルド様を見ながら言うので私はドキッとした。


「レオナルド様だけど……目が覚めるかどうかは今は何とも言えない。それに目が覚めても後遺症が残るかもしれない。……かもしれないばかりですまないが、それだけあまり状態はよくないと思っていてくれ」


「状態はよくない……と?」


「そうだね」


 目の前が真っ暗になるような……そんな気分だった。


「それは……アリシア様には……」


「アリシア様の今の状態はどうかな?」


「こちらに来てからはニコニコと笑うことが多かったのですが、昨日は全く眠れなかったようです。今日は三時間ほどレオナルド様のそばにいらっしゃいましたが、眠ってしまわれたので夕方ごろ部屋にお運びしました」


「もしも……がないように全力で診るけれど、もしもがないわけではない以上、話さないわけにはいかないかな。私から話そうかね。それと、心強い助っ人が来ているからね。彼の力も借りよう」


「助っ人……?」


「あぁ、馬車に待たせたままだったね。連れてきてもらおう」


 そういうと、キースニン先生の助手に連れてくるように頼んだ。


 ここでやっと私は忘れていた何かを思い出した。

 殿下だ……。

 それにしても、マーク先生が来てからゆうに二、三時間は経っている。ずっと下で待っていたのだろうか……?

 案の定、助手に連れられてきたのは近衛騎士に警護されたエドワード殿下だった。


「エドワード殿下……」


「シン、話しは聞いたよ。大変だったね。マーク先生、レオナルドの容態はどうですか?」


「この二、三日が山かと。状態は良くないです」


「そ、うですか……。シン、アリシアは? アリシアはどうしてる?」


「アリシア様は……処刑の夢を……処刑される夢を見てからレオナルド様から離れられなくなってました。レオナルド様と接するうちに徐々に回復していたところに今回の件があったので……」


「今はどこに?」


「隣の部屋で眠ってます」


「……僕は部屋に行ってもいいだろうか」


 殿下はマーク先生に伺うように聞くと、マーク先生は静かに頷いた。


「アリシア様が目覚めたらレオナルド様のことで話があるのでこちらに連れてきてください。これは話しておかなければならないことです」


 エドワード殿下は「わかりました」と伝えるとレオナルド様の側に行き何かを言ってから近衛を連れて部屋を出ていった。


「さて、じゃあ次はシンだ。キミ寝てないでしょ? くまがひどいよ」


「一日二日ぐらいなんとも」


「いや、今のうちに寝ていてくれ。長丁場になるかもしれないから。それに何かあれば起こすよ」


 マーク先生はニコッと笑うと私の背中を優しく押した。確かに長丁場になってから眠くなるより、今少しでも寝たほうがと思い直し、マーク先生に頼んで私は少し寝ることにした。


「では少し寝てきますが、何かあれば呼び出してください」


 私はレオナルド様を頼むと部屋を出て、自分が使っている騎士らと同じ部屋に向かった。扉を開けると誰もいなかったので、そのままベッドになだれ込むようにして眠った。マーク先生がきて多少緊張がとけたのかもしれない。



 ◇




 目が覚め、時計を見ると私は四時間も寝ていた。回りを見ると騎士や侍従が寝ていたので、私は彼らの出す音にも気がつかず寝ていたということになる。先生の言うとおり睡眠を取っておいてよかったようだ。


 私は湯あみをし、身支度をさっとしてからレオナルド様の部屋へと戻った。



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