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132、エドワード王子 side 待機

 

 アレンと一緒に馬車に戻ると、僕は今から港町に向かうことを伝え、アレンに聞いたレオナルドの様子を伝えた。そして、医師のマーク先生を一緒に連れていくため、マーク先生が来るまでの間、しっかりと馬を休めるよう伝えた。


「レオナルド様……心配ですね」


「あぁ……」


 レオナルドの今の安否がわからないが故に不安しかないが、僕はレオナルドは回復すると、治ると思い込みたかった。


 しばらく僕たちは荷物の整理をしたり、馬の調子を見たりしていると、ロックウエルが馬車までやってきた。


「殿下、マーク医師がこちらに向かっていてあと十分ほどで着くとのことです。それとこちらが昼食になります。お持ちください」


 見るとたくさん入れたようで持ちきれないほどだった。


「助かるよ。ありがとう」


 荷物を乗せしばらくするとマーク先生が到着した。


「ロックウエル、待たせてすまないね。殿下、私が医師のマークです。陛下のほうは良く知ってるけれど、殿下ははじめましてですかね」


 ニコニコ気さくに話すこの方がマーク医師らしい。父上と知り合いなのであればかなりできる方なのだろう。


「はじめまして。エドワード・グレイスリーです。では急ぐので馬車に乗りましょう」


「はい。ロックウエル、ではまたね」


「殿下、マーク先生、レオナルド様をどうかよろしくお願いいたします」


 ロックウエルは深く頭を下げ、マーク先生は軽く右手を上げた。

 馬車が出発し改めてマーク先生に挨拶をすると、マーク先生はなぜか心配そうな顔を向けた。


「殿下はアリシア様の状態はご存じですかな?」


「発熱していたときに会ったのが最後で、その後はアリシアが領地に行ってしまったからわからないのですが……」


「そうですか……」


 どうかしたのだろうか……?


「殿下は覚悟してアリシア様に会わないといけないですよ」


「?」


 僕は訳がわからず首を傾げた。


「アリシア様は悪夢を見てからレオナルド様に依存していて、それこそ一日中引っ付いていないと心が保てない状態でね……今回のレオナルド様の状態によってはアリシア様は心を壊しかねないと私は思っているよ」


「悪夢? 引っ付く……? 心を壊しかねない?」


「そう。とても危うい状態でね、レオナルド様はかなり献身的に看病していたけれど、今回のことでアリシア様がどうなったのか……。私は二人ともを心配しているよ」


「レオナルドについては何か聞いたのですか?」


「いや、毒を仕込んだ剣できられ、意識不明になった状態で護衛に使いに出されたそうだからその後はわからないね。最悪のことも考えておかなければならないね」


 背中がぞくりとした。なんだか胃のあたりがキリキリとする。もしレオナルドにもしものことがあったら……。


「殿下まで顔色が悪いが大丈夫ですか?」


「……なんとか」


 僕は窓の外を見ながら心を落ち着けるよう深呼吸をした。最悪の場合を考えるとどうしても胃が痛くなるが、あの二人のことだ。そうも言ってられない。


「マーク先生、あの二人を助けてください。あの二人は僕にとってなくてはならない存在なんです!」


「もちろん全力で治療に当たりますよ。私にとっては孫みたいなものだからね」


 マーク先生は真剣な顔をしていた。私はそれを見てなんとなく大丈夫なような気がした。


 その後は昼食を食べ休憩をし、また馬車は走り出した。王家の馬は訓練をされているため、長距離を得意としている。これなら早ければ夜になる前に着けるらしい。



 レオナルド、アリシア……

 無事でいてくれ……


 僕は道中、ひたすら祈った。



 ◇



 なんとか夜になる前に馬車は目的地に着いた。馬も人もよく頑張った。イアンが宿に話しに行き、マーク先生だけが中に入っていった。僕は呼ばれるまで待機するしかないのだが、この時間が長く感じて仕方がなかった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] うぅーー待ち遠しいです(>_<)!! マーク先生が到着されたとき…… いらっしゃったのですね(* ̄∇ ̄*)*﹢.'*+
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