13、絶望
残酷な部分があります。ご注意下さい。
私はいつものノートを取り出しさっき思い出したことを書いていく。
『夜会でマリアンナ男爵令嬢にジュースを掛けたと言われた。私は飲み物を持っていなかったにも関わらずジュースを掛けていじめたことになっていた。エドワード王子とサイテス伯爵令息に責められる』
「ふぅー」
書き終わるとさっさとノートをしまい、また横になる。気力がわかない。王妃教育もしばらく休んでいるが、それもそろそろ再開しなくてはならない。
ボーッとしているとまた睡魔が襲い、いつの間にか眠ってしまう。
◇
『アリシア、お前はなんてことをしようとしたんだ!』
ベッドに寝ている私にエドワード王子が怒鳴る。
『マリアンナを階段から突き落とそうとしたらしいな。それで避けられて自分が落ちるなんて愚かにもほどがある。死なずに骨折三本ですんだのはマリアンナのおかげだと思え。ただ、この件は裁判にかけるから逃げられると思うなよ』
『私はそのようなことは……し……ておりません。私は誰かに……突き落とされた……のです』
『マリアンナが嘘を言っているというのか? そんなにも死にたいのか?』
『もう……私を……解放してください』
『このまま逃がすと思うのか? 沙汰を待て』
エドワード王子はそのまま部屋を去り、私は一人になった。逃げたいのに体が動かない。私の言葉は誰にも届かない。私はマリアンナ男爵令嬢にも、エドワード王子にも殺されようとしている。なら一層のこと自分で消えてしまったらこれ以上心は苦しまないのでは……。
◇
霧が晴れたように目が覚めると、部屋についている簡易キッチンに向かった。
「アリ、アリ? どうしたの?」
呼ばれたような気がしたが、目的を果たさなくては。ナイフを取り出し、首に当てるとそのまま切ったはずだった。が、最初首にナイフを当てた時の傷だけで、ざっくりとは切れていない。ナイフも動かせない。
?
後ろを見るとナイフの刃を持ったレオナルドお兄様がいて、そのままナイフを取り上げられた。お兄様の手から血がしたたるのを見て私は失敗したのだと思いながら、気を失った。
「アリ? アリ!」
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