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118、レオナルド・スチュアート side 涕涙(ているい)

本日二話目です。お読みになってない方は一つ前からどうぞ。

 アリの告白後まで遡ります



「おはよう、アリ」


「お兄様、おはようございます」


 今は日が登り昼を回っている。明け方に寝たからそれは良いとして、アリの顔色が今までと違ってずいぶんと良くなったのがうれしい。

 するとアリがへにゃりと笑った。

 かわいすぎるでしょ!!


「お腹減ったね。何か用意してもらおうね」


 私は侍女に指示しに行こうとしたら、アリが私に手を伸ばし、「あっ」と小さな声を出したあと、手を祈るように胸の前で握りしめていた。下を向いて頭を横に振っているところを見ると私を引き留めてはいけないと思ったのかもしれない。そんなことないのに。いくらでも頼ってほしいのに。


「アリ……」


 私はアリを抱っこした。


「さあ、食事にしよう」


 私は抱っこしたまま部屋を出て食堂に向かった。途中、シンに会ったので食事の用意を頼んだ。


 サンドイッチとスープとサラダに果物のジュースが用意されて、アリはがんばって食べようとしているのがうれしかった。果物のジュースは好きなのかよく飲んでいる。料理人のアイデアかな? ありがとう。


 食事を終えて部屋に戻り身支度を整え座っていると、身支度を整えたアリがソファーの前で迷いながら私の隣に座った。……ので、膝の上に座らせるとアリが「いいの?」と聞いてきた。


「もちろん。いつでも私は大歓迎だよ」


 むしろ、私はいつまででもこうしている方が安心なのだけど、アリは理由を告白してから自立しなければと思っているようだ。そんなに急に、昨日今日で心は回復なんてできない。

 健気なアリにゆっくりでいいのだよという意味を込めて私はぎゅっと抱きしめた。アリの体の力が抜けたのを感じて、


「今日は昨日できなかったから散歩に行こうね。それとネックレスだけど、王都に戻ったらブレスレットに加工してもらおうと思うのだけどどう?」


 私はアリに提案をしたら、アリがこくんと頷いた。おそらくネックレスの方でアリは頷いたのだろうが、私は庭に連れ出すことにした。


「うん、それならさっそく行こう!」


「きゃっ」


 私が急に立ち上がったから驚いたようだけど、アリをしっかりと抱っこして歩き出すと腕を首に回してきた。驚かせすぎたのだろうか。それでも声が出てきたことに私はうれしく思う。

 庭につくとゆっくりとアリを下ろして手を繋いだ。


「ここからはアリも歩きだよ。手を繋いでいるから大丈夫だよ」


 アリは頷いて、庭の景色を見回していた。

 スチュアート家は代々花を大事にしてきた。領地で栽培して販売もしていることも理由の一つだ。そのため王都の屋敷も、領地の屋敷もどちらでも庭の手入れには力を入れている。


 アリの顔が和らいだので、私はアリの手を引いて庭に入っていった。ゆっくりゆっくり花を見ながら歩いていると、アリがポロっと涙を流した。私はアリの涙を見て涙を手で拭い、そのまま抱きしめた。私に触れることで安心するならいくらでもやってあげたい……そう思いながら抱きしめていた。頭にキスをし、しばらくそのままでいた。


「お兄様……私、大丈夫のような気がします……」


「そう。でもお兄様がこうしていたいから、もうしばらく離れないでいてね」


「はい……」


 アリががんばることには応援したいが、無理はさせたくない。特に心に関しては。

 その後も手をしっかり繋いで散歩の続きをした。



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