108、 リリア・スイートリー side 決心
ヒラリーのうちに来るのは二回目だ。以前来たときとかわらず、綺麗なお屋敷で過ごしやすい。それなのに、ヒラリーの顔も私の顔も青ざめたままだった。
マリアンナはヒラリーに対してごめんなさいと言う割りに、マリアンナ自身のお願いを聞くように言う。お願いの内容は些細なことだけど、これに何の意味があるのかわからない。ヒラリーも困惑しつつ了承していた。その時……
バシャッ!
「きゃ!」
「まあ! リリア! ごめんなさい! すぐに拭くわ」
私はマリアンナから勢いよく紅茶を掛けられたようだった。ヒラリーがすぐに侍女を呼んでくれ、私は洗面室で着替えをさせてもらった。ステラとリネットもついてきてくれたが、着替えが終わって整えていると、ステラは私に声を掛けた。
「新入生歓迎会はがんばろうね」
「……? どういうこと?」
「さっきマリアンナが頼んでたでしょ? 殿下のためにがんばらないと!」
「そうよ。リリアもやることあるから明日詳しく話すわね」
リネットもよくわからない話をするけれど、これがヒラリーが言っていたこと……?
私はそのあとマリアンナたちを連れてきてしまったことでヒラリーに顔向けができず、早々にお暇させてもらった。それなのにヒラリーは馬車を出してくれた。ヒラリー、やっぱりあなたはやさしすぎる。
◇
次の日、ヒラリーは学園を休んでいた。マリアンナは公爵令嬢であるアリシアさまに今日も詰めより、殿下をさらに不快にさせていて、私は今までと違う目でそれを後ろから眺めていた。本当だわ。ヒラリーが言ったように、こうやって最初から疑いの目でみるとマリアンナがよく分かる。
放課後になり、私はマリアンナに図書室に呼び出された。明日の新入生歓迎会のことだとはわかっていたが、ヒラリーを巻き込んでおいて、私だけ逃げることはできない。覚悟して図書室に行くと図書室には人がまばらにいて、マリアンナたちは一番奥の席にいた。
「マリアンナ、ヒラリーに頼んだことは私がやるわ。だからヒラリーのことはソッとしておくことはできない?」
「リリアどうしたの? リリアもやることあるのよ?」
リネットが不思議そうな顔をして私に聞いた。それを聞いたマリアンナがステラとリネットの二人に少し席を外してほしいと頼み、私はマリアンナと二人で話すことになった。
私はマリアンナと向かい合って座るとマリアンナは態度をガラリとかえた。
「ヒラリーに何か聞いたの?」
「いいえ。何も聞いてないわ。でも私が原因でヒラリーが苦しむくらいなら、私がやるわ」
「そう。それならあなたとヒラリーと二人でやればこれ以上ヒラリーに手を出さないわ。これで終わりにするわよ」
「これで終わり……? 本当に?」
「こんなことで嘘は言わないわ。その代わり、明日はちゃんとやってね。たいしたこと頼んでないのだから……。あと、このことを誰かに話したらヒラリーがどうなるか分かってるわよね?」
「わかった……。誰にも言わないわ。じゃ、また明日」
私はマリアンナと分かれ帰宅する振りをして、ヒラリーの家に向かった。私はすぐにでもヒラリーに謝らなければならない。
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