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105、マリアンナ・ブラウニング side 演技

 

 私はステラとリネットの三人で図書室で待っていた。

 ヒラリーが来ないからリリアが呼びに行ったけれども、リリアもなかなか戻ってこなかった。


「今日は相談したいことがあったのに……明日にしようかな?」


「私でよかったら聞くわよ」


 ステラが言うと、リネットも頷いた。


「私、アリシア様が怖いの。どうしたら良いのかしら……」


「マリアンナ……。マリアンナをいじめるような人が殿下の隣にいていいはずがないわ」


「殿下もおかわいそうに。きっとアリシア様のひどいところをご存知ないのだわ」


 ステラとリネットが心配そうな顔で言う。


「……あの本みたいに悪役は退場していただいたらいいんじゃない?」


 ステラが回りを気にしながら小声で言うとリネットも小声で答えた。


「そうよね……。それがいいと思うわ。そしたら殿下も救えることになるわ」


「二人とも、でもどうやって? アリシア様にはあのデカイ先生がいつもついて回っているわ」


「そうよね。まずは離さないと……。アリシア様が必ず一人になるのは……」


 このあとも話はどんどん進んでいった。うんうん。うまく誘導できたわ。と内心思っているとリリアが戻ってきた。


「遅くなってごめんなさい。ヒラリーと私は用事があるから今日は帰るわね」


「用事? 何の? 今、私たちは大事な話をしていたのよ? マリアンナのために残れない?」


「あ……。実はヒラリーの体調がよくなくて……。だから私も付き添ってこようと思って……」


 リリアはしどろもどろに答える。ヒラリーの家は確か男爵家にしてはお金持ちだったはず。それになんとなくだけど、最近のヒラリーは私から離れようとしてるのを感じていたのよね。


「ヒラリーの家に行くの? それなら私も行きたい! ヒラリーが心配だし!」


「え……あ……。えっと……」


「それと気のせいかな……最近、ヒラリーが私を嫌ってるように感じるの……。何か誤解があるなら解きたいわ」


 私がしおらしく言うとリリアは表情をかえた。


「そうね。誤解があるなら話した方がいいわね。あの子、ちょっとナーバスになってるみたいだから……」


 やっばり! ヒラリーは私から離れようとしてたのだわ。BクラスはAクラスに近いからかしら? それなら強制的に協力させるしかないわね。


「実はヒラリーは私のことが内心嫌いみたいなの。今日も味方の振りをしただけで……」


 困ったように悲しそうに言うとステラが即座に援護してくれる。


「ヒラリーが? 本当に? 仲間だと思っていたのに。それならなおさら話をしないと! リリア、私たちも行くわ!」


「えっ。あの、誤解だと思うのよ?」


「ええ、話をしないとね」


 にっこり笑いながら言うと、リリアは安心したように「では行きましょう」と言った。

 ふふっ。リリアはすぐに人に騙される。


 私たちはにこやかに笑いながらヒラリーの元へと行くと、ヒラリーは私を見るなり分かりやすく青ざめた。あぁ、ヒラリーは味方ではなくなったのね。それならそういう扱いをしないとね。


「今からヒラリーの家に行くのよね。私たちもご一緒するわ。いいわよね?」


 ヒラリーは固まったまま返事をしなかったが、私たちはヒラリーの腕をとってヒラリーの家の馬車に向かった。馬車はこじんまりとしていたが全員乗れる程度の大きさはあった。


「馬車があるなんてうらやましいわ。私のうちにはないもの……」


「……そうなのね……。確かにあると便利よね」


「私に貸してくれない?ヒラリーのうちはお金持ちだから使ってない馬車があるでしょ?」


「それはちょっと無理……かな……」


「そうよね。私には乗り合い馬車がお似合いだものね……」


 私はヒラリーの家に着くまで悲しそうな顔をしたまま口をつぐんだ。


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