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Assassin Crow  作者: なぼ
5/12

AssassinCrow 3.0 終

「別に気にしないで。通りすがっただけだもの」


そう彼らに告げる彼女の名はニア。

金髪ロングで首に大きなベルトを巻いた、容姿端麗な彼女は確かに先程会った。


レイドが中で大金を受付に差し出してる最中の事だ。

中に入れない2人は入り口でまだかまだかと待っているだけの状態だったのだが、そこにたまたま通りかかったニアに救いの手を差し伸べられた。

2人とも彼女と既にコンタクト済みであったが故、やり取りはスムーズに、入る時は彼女の物陰に隠れてすんなりと入れてしまったのである。…セキュリティの甘さに3人とも呆れ顔になるのはまた別の話。


「それよりも、早く自室へ行ってきたらどうかしら。2人に入られたくない、って事は…でしょう?」


2人が入れなくなったのには訳がある、とでも言いたげなニアを尻目に

確かに、と頷く2人。そして、


「そうですね」

「行ってくる」


と言い残しささっと住宅地内受付へと走っていった。

一方、残されたレイド、ニアは何かあった時の為エントランスで待つ事に。


「すまねぇな、今回も。ちなみに今夜の御予定はー…」

「結構よ」

「うぐ」


その間にも、エレベーターは着々と自室へと近づいていくのであった。



ー…お互いの住居へと向かう2人。

別れ道の際、コルドが「何かあればすぐに合流しよう」と言葉を残しそのまま去っていく。

それを見送った後、ウェインも颯爽と自室へと向かっていった…


「なっ、なんだこれ…」


自室の扉を開いたウェインは驚いた表情でいつもの風景だった筈の部屋を見ていた。

ベッドとテーブルと椅子しかない、殺風景な部屋がぐちゃぐちゃになっていたからだ。

ベッドはひっくり返り、テーブルはズタズタに表面を削られ、椅子は脚が折られていた。

しかしこんな部屋でもある異常に気付いたウェイン。


(に、しては『無い物がない』…ヤロー一体…)


そう、こういう場合私物が盗まれる筈なのだが、それが一切なかったのだ。

ウェインは本当に盗まれたものがないか探していた時だった。


「ウェイン!」


背後から大きめな声で掛けられた。振り向いたその先はコルドだった。


「コルドか」


コルドもこの状況を見て唖然とする。


「何だこれは」

「オレが聞きてぇよ」


コルドが感じた違和感はウェインのものとは別であった。


(俺の部屋には何も無かった…やはりこの件彼奴が関連しているのでは…)


別れたあの後、部屋へ行ってみたもののいつもと変わらぬ風景にコルドは困惑する。

そして、これは罠ではないかとウェインの元へと来た次第だった。

来てみると確かにウェインの部屋には変化があった。ただし、意味のない変化だったが。

ただの愉快犯か?それとも能力者を狙った、ギア製作の為なのかー…


「コルド」


悶々と考えているとウェインから一声かかり。


「一旦エントランスに戻ろう」


そう提案された。


ー…エントランスに降りてきたウェインとコルドはレイド達と合流。

そしてウェインの部屋が荒らされた件について、何か知っているであろう受付に問い詰めようとしていた。


「『オレの部屋が荒らされていた』誰が来たのか正直に言え」


自分の胸の高さくらいにある机を少し背伸びしながらバンッと叩き、怒るウェイン。

それに対し、新聞を見ながらタバコを吸いつつテキトーに遇らう受付。

ウェインの方に一切見向きもせずに、しらねーしらねーの一点張りだった。


「誰とは言えねぇよ。だぁって守秘義務があるもん」

「んだ、『もん』って」


この際なんでもいい、何も答えない受付細部の至るところまで苛ついてきたウェイン。

しかし、食い下がるウェインを見かねたのか受付がヒントを出してきた。


「でも良いぜ、オレはお前が好きだから特別だ」

「?」

「左手薬指にアザがあった。それも結構目立つ、な」


以上だ、とでも言いたげに新聞に顔を埋め隠してしまった受付。

これ以上は聞けないかという諦めと、今貰ったヒントについて考えはじめたウェインは受付を背に、少し離れたレイド達のもとへと歩いていった。


「アザか…」


その一言を聞いたレイドとニアはピンときた。


「ウェイン」

「1人思い当たる奴が居るわ」


2人ともがそのアザに思い当たる奴が居ると言い出した。

その一方で考えが纏まってきたコルドは秘かにウェインに問う。


(ウェイン…もしかしたらこれはー…いや、或いは…)



ー…とある廃工場。

一人の男が複数のPCと共に佇んでいた。


「っはー!あっぶねーあっぶねー!」


本当に息を止めてから言い放つ言葉には何故か楽しみが込められている。


「資金も取り返せたしお部屋も見れたしで大成功ー!手下なんか居なくても良かったのでわ!?」


1人でに問う姿は誰もが違和感を覚えるだろう。誰かに喋っているようでもあり、そうでもない。実態がない雲のような男だ。


「なーんて言い過ぎだけど、でもコレ。ウェインくんのお部屋!ココにヒントが隠されているのだ!」


ポケットからごそごそと取り出したカメラの再生ボタンを押すと、ウェインの部屋の様子が映し出された。

それもぐるぐると360度回転させながら撮ったり、私物をじーっと映したりと訳のわからないものであった。


「日々何を思い生活しているのか、そういう思考は戦いに必ず出るからね」


その映像を何度も何度もコマ送りをして何があるのか、どんな配置でどんな角度で置いてあるのかなどを次次とメモに書き出す男。

コップ1つにしても置きっぱなしのコップ、洗ったコップなどで動線が解明できるからだった。

彼はこの動線から戦闘スタイルのヒントを得たいようだった。


「んじゃ、解析開始♡」

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