第99話 こっそり世界展開もはじめるらしい
「さすがにバリ島だけというのは問題なのかもしれませんね」
「ああ。俺もそれを感じていたところだ」
今、バリ島でリリースされているトークン結びを使った評価システム。
ロスメンやワルン(食堂)やスパ(マッサージ屋)、コス(アパート)やヴィラ(別荘)等々。
店舗や不動産物件から始まって、投資情報まで。
ほかにも、職人や技術者、各種要員に渡る求人情報。
個人の経験とスキルといったパーソナル情報。
それらを結ぶ、評価・鑑定情報。
そこから生まれてくる、適材適所を実現するためのマッチングシステム。
さらには、キャリアプランという、未来プランまで提供が始まった。
今までは、生まれや経験によって限定されていた未来が、トークン間の情報やり取りで限定をはずし、より適材適所が実現するプランを提案する。
もちろん、個人の望みが一番の選択基準だが、可能性があるプランを提示することで新しい道を開く手伝いをする。
同様に新しい起業アイデアだったり、空き店舗の有効活用だったり。
まだ、情報が少なくて実現はできていないが、交通混雑を回避する最適ルート指示とか。
そんなところまで、トークン結びのシステムはバリ島で発展しまくっている。
「もう、同じ言語のインドネシア全域はリリース済みですし、すでに10か国の言語対応も終わっています」
「あいかわらず、速いな」
「そりゃ、適材適所の200名ものスタッフがいるんですよ。なんでもありです」
まぁ、在真でなくてもできるところは、すべてスタッフに任せればいい。
それができるのも、在真が作ったトークン結びのシステムがすごいんだけどな。
「あとは、ゴーするだけだな。アートオークションの方で利用している広告先は押さえてある」
「最初は小規模でいいでしょう。登録されている情報が少ないうちは、たいしたことができませんから」
「それはそうだな。バリ島という400万人の市場だから小回りが利いて、我々のスタッフを使って情報を集めることができたんだからな」
「それを全世界70億人、1700倍に広げるには時間が掛かるだろうからな」
それだけでなく、すでに各国、いろいろな情報システムが普及しているし。
先行しているライバルに追い付くには、時間がかかるだろう。
「しかし、いよいよ。在真の年収100億円の道を歩み始める訳だ」
「何言っているんですか。それなら翔太さんは年収1000億円じゃないですか」
「ははは。俺の場合はいくら入っても、全部ビジネスに投資してしまうからな。残るのは普通のサラリーマン程度だろう」
「ですね。それが楽しいんですから仕方ないですよね」
「在真はトークン結びのシステムを作っているときが一番楽しそうだな」
「ええ。それに勝る楽しみはみつかりませんね」
楽しいことを思いっ切りする。
経験がなくても、スキルがなくても。
熱意を持ってやりつづけることができれば、道は開ける。
在真がトークン結びを作り続けてきた10年。
俺が異世界で魔王を倒す組織づくりに費やした30年。
それぞれが持つ情熱の向かう先は違えど、そこに込められている想いは一緒だ。
その状態をそれぞれの人が実現できるようになる。
それが俺と在真が見ている共通の未来だ。
「さて、世界展開は時間がかかるから、バリ島で始める新しいことだな」
「ええ。もう準備はできていますよ」
「バリTVから依頼のあった番組タレントチーム編成。誰も考え付かないタレントチームを創り上げよう」
「ええ。もう、チームマッチングトークンは結びまくっていますよ。最後は翔太さんの鑑定力に任せます」
「だな。本気の鑑定は久しぶりだな」
こうして明日、バリ島限定の新しいタレントチームができあがる。
最初から平日の毎日昼1時間。
冠バラエティー番組がスタートする予定だ。
トークン結びの適材適所能力がどれくらいあるのか。
それの実験でもある。
視聴率がどのくらいになるのかで測られる。
さすがに俺も、この企画にはドキドキしているが。
今日は朝から、ちょっと熱っぽい。
本編は書き溜めがあるから大丈夫だけど、後書きが思いつかない。
お見舞い代わりに、☆をぽちっとしてもらうのって、ダメ?




