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第97話 ショウタイズムを排除しろ

「バリ人の生活を脅かす日本人は出ていけ!」

「バリ島はバリ人の手で!」

「日本人の横暴を許すな!」


黄色くて横長の横断幕を持ってバリ島のビジネスの中心街であるデンパサールを練り歩く30人ほどの人達。

男もいれば、女もいる。

年齢もさまざま。


「なんだ、あれは」

「うちの会社を排除しようとするバリ人のデモらしいんです」

「どうして、そんなことになった?」

「分かりません」


在真に呼ばれてすぐに駆けつけると小さなデモが起きていた。

たしかに、俺が今やっているネットでもバリ島情報系のシステムはバリ人の生活を変える可能性はある。


だが、良い方向に変えている自負はあるぞ。


「ナンタラTVです。あなたがショウタイズムの社長さんですね」

「ああ、俺がショウタイズムの翔太だ」

「あなたの会社、バリ人の反感買っているみたいです。日本に帰ったほうがいいじゃないですか」


あまりうまくない日本語を使ってインタビュアーが聞いてくる。

後ろにはテレビカメラが一台、俺の映像を撮影している。


「ナンタラTVというと民間放送局で一番大きいとこだな」

「はい、そうです。連絡があってデモの取材にきてます」


こんな小さなデモを取材しているとなると、TV局もグルじゃないのか。

そんなことを感じてしまうぞ。


「このデモのこと、何か知っているのか?」

「このデモはバリ人の声です。あなたの会社、バリ人のいろんな会社の仕事をうばっています」


そういうことか。

不動産屋あたりの団体が仕掛けたデモなのか。

それにしては、ずいぶんとしょぼいな。


「俺の会社はたしかにバリ人の生活に変化を生むシステムを提供している」

「変化だけじゃないです。仕事、奪っています」

「奪うだけじゃないだろう。新しい仕事も生み出しているぞ」


俺的にはバリ人のためになることをやっているつもりだがな。

本当にバリ人の多くが俺達が作っているシステムが問題だと思っているなら、再考の余地があるが。


「そんな言い訳通じません。あなたのやっていることはバリ人からお金吸い上げることだけでしょう」

「あー。正直言えば、お金が儲かるというより、お金を投資している方が多いぞ」

「嘘はダメです。儲からないことするはずありません」


うーむ。

このインタビュアーは、俺達がバリ人から仕事を奪う存在として決めつけているようだ。

何を言っても無駄だろう。


「駄目だな、在真、帰るとしよう」

「そうですね。逃げるが勝ちですね」

「逃げる駄目です。もっと話聞かせてください」


☆   ☆   ☆


「いいな。あいつが困った顔。しっかりと撮れているな」

「はい。それはもちろん。まだ序の口ですよ」


元は手柄泥棒で、今はグレーゾーン組織の親玉になったグレ親玉。

話ているのは、ナンタラTVのプロデューサー。


場所はインドネシアの首都ジャカルタにあるプロデューサーのオフィスだ。


「どうだ反響は?」

「まだあまり人気のないニュース番組で流しただけですから、反響はたいしてないですね」

「おいおい。それじゃ困るんだよ」

「任せてくださいよ。ニュースで流れたということが重要なんですよ。その事実を使ってもっと大きなデモ団体を動かします」

「そんなに簡単にいくのか」

「そこは金の力を使います。いつも資金を流している団体がいくつもありますから」

「ほう。さすがはメディア王の会社だけあるな」


どこの国にもグレーゾーンはある。

特に日本ほどしっかりした制度が確立していないインドネシアでは、グレーゾーン組織の力は強い物になっている。

マスコミの一部はグレーゾーン組織とも繋がっていて、お互い利益を生む構造ができあがっている。


「次はどうなの?」

「明日は100人規模に膨らんできますよ。それも取材してニュースに載せます」

「もっと、一気に人数を動員したらいいんじゃないのか?」

「いや。このデモは自然発生的に見せたいんですよ。バリ島の人達がやっているように見せかけるためにね」

「そういうことか」

「実際、明日からはこっちが用意した連中以外も参加する予定です。不動産屋の団体にも情報を流しましたから」

「うん、いいな。バリ人から排除されるあいつの悔しがる顔をみたいからな」


グレ親玉は満足げだ。

それを見て、プロデューサーは言う。


「あのー。もう、あれがなくなってしまいまして」

「なんのことだ?」

「あれですよ、あれ。すごい男になれる魔法の薬」

「おまえ、使いすぎじゃないのか」

「何言っているんですか。各方面の協力を得るために使っているんです。このままじゃ、影響力を広げることができなくなりますよ」

「それは困るな。では、100くらいでいいか」

「あー。200は無理ですか?」

「仕方ないな。200だな。それだけの働きをしてくれよな」

「もちろんです。バリ島全体にデモを広げてみせますよ」

「楽しみにしているぞ」


グレ親玉は、すでに翔太をバリ島から追い出した未来を想像していた。


日本での事業を撤退してバリ島にすべて集中している、翔太。

バリ島から追い出されてしまったら、もう何もできやしない。

投資が先行しているから、巨額の借金だけが残るだろう。


借金取りを恐れる毎日。

どれだけ苦しいか。

それを味わせるしかない、と思っていた。


そして、その状況になるとそれまで仲良くしていた連中が一気にいなくなる。

そんなみじめな経験をすることになる。


さらに、翔太が作り上げたシステムはバリのペーパーカンパニーに二束三文で買い取らせる。

その会社の実質的オーナーになっているのがグレ親玉だ。


あいかわらず、手柄泥棒の性格は変わっていないらしい。


北斗七星とオリオン座とカシオペア座。

誰もが形をイメージできる有名な星座だよね。


今の僕は、この中でひとつを選ぶとすると断然カシオペア座なんだ。


カシオペアは、ギリシャ神話に登場していて、とっても美しいアンドロメダ姫のお母さん。

あまりに美しいから、ポセイドンに自慢したらムカついたポセイドンがカシオペア王国に攻めてきた。

なんて話があるんだけど。


僕がカシオペア座が好きなのは、たったひとつの理由。

それは、☆が5つだから。

☆5つ、大好きです。


☆5つ入れてちょうだい。一番右の☆をぽちっとするだけだから、お願い。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「どうだ反響は?」 「まだあまり人気のなすニュース番組で流しただけですから、反響はたいしてないですね」 人気のなすニュース番組 誤字じゃなかったらすいません うぽつです
[一言] あれ?どこかで見た光景ですね…デモしてるけど、地元の人間がいないというやつ 情報化社会のいま、この手の手法はどこまで使えるのでしょうか。 続き期待してお待ちしております
[一言] コイツが妻子持ちだったという事実よ… でもこれバリ島親分にも喧嘩売ってることにもなるんだよなぁ
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