第73話 俺はバリ島親分の言いたいことが分かってきたぞ
「それは面白そうだ。そのうえ、うまくいく可能性を感じるぞ」
40代投資家は運営会社と共同して、新アートオークションのプレゼン資料を用意してきていた。
プレゼンを受けて、バリ島親分は好反応を示した。
「そうです。このプロジェクトはきっとうまくいきますよ」
俺はとりあえずだまっていた。
興味があるプロジェクトだから、俺の意見は後でいいだろう。
「ただし、ひとつだけ質問がある」
「なんでしょう? 親分さん」
「このプロジェクトはなんのためにやるのだ?」
やはりこの男。
面白いことを聞くな。
「それはもちろん、中国製のオークションサイトに勝つためですよ」
あー、それは悪手だ。
親分が求めているのは、そういう答えじゃないぞ。
「勝つため?」
「だってそうでしょう。似たようなサイトを作って大儲けするのはずるくないですか」
「ずるいもなにも。ライバルの方が求めている人が多いというだけじゃないのか?」
「単に中国だからですよ。今の中国はアート作品を爆買いしているから。それでうまくいっているだけです」
「それなら、欧米の世界では負けないのではないか。中国人はあっちのサイトで、欧米ではこっちのサイトと住み分けできるんじゃないか」
「ソレガデスヨ。イギリスジンモ、チュウゴクサイトニ、シュッピンシテマス」
バリ島親分と同じ疑問を俺も感じたぞ。
なぜ、イギリス人が中国のサイトで売買するんだ?
「それは買い手の問題です。中国人は高額入札するんです」
「それだけか?」
おおっ、さすがバリ島親分。
突っ込みが上手いな。
「あと。こっちのサイトは偽物が出品されないようにしっかりとしたチェック体制があります」
「ほう」
「ただ、それが手間がかかって経費が掛かる上に、出品者には不評でして」
「あっちのサイトはどうなっている?」
「ほとんど、入札者の自己責任って考え方です。ほとんどノーチェックです」
「それじゃ偽物が氾濫するんじゃないか?」
「ええ。その代わり、出品も入札も多くなっていて」
有名なオークションハウスが関わっているから、真面目なサイトになっているようだ。
ただ、それが逆に足かせになっているという訳だな。
「それで翔太さんの鑑定システムがいるってことですね」
いきなり在真が割り込んだ。
俺のシステムというより、在真のシステムだろうと突っ込みたいとこを我慢したぞ。
「ソウデス。アートカイノユメデス。カンペキナカンテイシステムガ」
「それなら、中国のサイトに組み込む方が良くないか?」
俺も同感だ。
すでに使いやすいと評価を得ているオークションサイトはそっちだろう。
「それはそうですが。それじゃ勝てないじゃないですか」
「なぜ、勝たないといけないのだ?」
うん。バリの親分の考え方、分かってきたぞ。
俺も似たような考え方をしているからな。
俺も意見を言うとするか。
「まず、利用料金だな」
「リョウキンデスカ?」
「ざっくり言って、1/10にできるか?」
「ソンナニヤスクデキマセン」
「なぜだ?」
「エイコクジンの給料はタカインデス」
やっぱり、そこか。
それなら答えがあるじゃないか。
「出品チェックをバリでやればいいだろう」
「エエー」
「そんなことができるのか?」
もちろん、バリではなくてもオッケーだ。
人件費が安いところでやればいい。
「バリなら中国より安く対応できるだろう」
「もちろんだ。こっちなら人件費がイギリスの1/10だぞ」
そんなに安いのか。
それは魅力だな。
「しかし、こっちの人間はのんびりしているからな」
「多くはそうだろう。しかし、きっちりしている人もいるだろ?」
「それを探すのが大変なんだ」
「分かった。俺がやろう」
この話、スタッフ探しの問題になるとみた。
俺の得意ジャンルだぞ。
「仕事を欲しがっている人、親分なら何人集まめられる?」
「声を掛ければ、まぁ、何百人と集められるさ」
「なら、三日のうちに千人はどうだ?」
「ずいぶんと、ムチャブリをするな。俺もバリの親分と呼ばれている男だぞ。できないはずないだろう」
よし。いけるぞ。
まずは、オークションサイトの運営スタッフをバリ島で集めるとするか。
「まずは俺がバリ島で運営会社のベースを作るぞ。すべてはそれからだ」
「よし。お前がどんな人間を選ぶのか。できあがった運営会社を見て、投資するかどうか決めてやる」
「よし、この企画を進めることとしよう」
なんか、俺とバリ島親分だけで勝手に話を進めてしまった。
お互い行動が早いからな。
僕は怒っている!
何に怒っているのかと言うと……なろうのランキングにだ。
よく、なろうランキングの批判をしているエッセイがある。
「テンプレ作品ばっかり上位くるのはおかしい」
もっとオリジナリティがある作品がピックアップされるべきだ。
そう主張している。
「テンプレで書けば人気は出せるけど、それはやりたくない」
なんて感じで言っている人の小説を読んでみると、あんまりおもしろくない。
テンプレを否定したいなら、テンプレで人気作品を書いてからにして欲しいな。
そんなことを感じていた。
テンプレで人気をとるのは簡単じゃないよ、と経験者は思う。
しかし、僕が今、怒っているのはそういうことを言う人じゃない。
本当に面白い作品がなぜ、ランキングに上がらないのか?、だ。
みつけてしまった。
連載を始めてすこしたった作品だけど、すごく面白いのがある。
「面白い! なんだ、これは」
僕が好きな錬金術士もの。
もちろん、錬金チート持ちの主人公。
すっとぼけた設定で、周りを彩る登場人物がまた魅力的。
なぜ、これが人気にならないのか。
ひとつだけ、人気が出ない理由がありそうだ。
読んでもスカッとしない。
スカッとする代わりに、クスッとする。
これがまた、いいんだよな。
癖になる感覚。
で、思った訳ですよ。
こういう作品はランキングに上げて人気にしてしまおうと。
残念ながら半月くらい経って、総合評価が100以下なんだ。
このままでは、ランキングに上がるのは無理だろう。
だから、この作品の読者で錬金チートが好きな人、いないかな。
面白さは僕が保証するから、一度読んでみて欲しい。
面白さを感じたら、ブクマして欲しい。
最後まで読んでしまったら、ポイント評価して欲しい。
もちろん僕はブクマして5:5を入れた。
12ポイントを入れたからやっと総合ポイントが100を超えた。
面白い作品はちゃんと人気にしてしまおう、ってね。
これ↓
『田舎錬金術師からの成り上がり 〜世間知らずな彼は魔導具作成の達人だった〜』
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