表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/113

第61話 実は在真ってとんでもない奴だと判明した

俺は在真を呼び出して、ボーナスの話をした。


「特別ボーナスですか?」

「そうだ。今の時点で売り上げ1憶5千万円になっているからな」

「いりませんよ、ボーナスなんて」

「へ? どうしてだ」


あまりお金に頓着しない在真でも、これだけの売り上げを叩き出しているのだ。

それも、ほとんど原価のかからない、全て粗利になる売り上げだ。


何割かボーナスで欲しいと言うかなと思っていた。


「今、一千万円くらいもらっても、大したことはないです」

「まぁ、そうだな。そのくらいは余裕で払えるぞ」

「いや、違うんです。僕の価値の話です」

「ん? なんのことだ?」


在真によると、銀座の澪の店で飲みながら話した俺の話にやたらと感動したと言う。


「1年後は年収2憶円になっているぞ」


このフレーズらしい。


俺からしたら、今回のラッキーチャンスがなくても、真珠色のオーラの持ち主だから、そのくらいはいくだろうと本気で思っていた。

要は正当な人物鑑定でしかない。


だけど、当の在真にとっては、すごくうれしい評価だったらしい。


「僕の価値って、正当に見てもらえないってひねた気持ちがあったんです」

「あー、そうかもな」

「10年前もそうでした。画期的なAIを開発したのに理解してもらえなくて」

「10年前? AI?」

「ええ。富田自動車も使っているAI。あのAIベースを開発したのは僕だと言ったら信じます?」

「なんだとーーーー」


そういえば、在真の存在自体が気になっていた。



何か、のどの奥に魚の骨が刺さっているような感じ。

せっかく作り上げたジグソーパズルが1片足りないって分かったときのような感じ。

どこかで会っているけど、思い出せない、そんなもやもやした感じ。


「10年前、あのAIを開発した会社にいたんですよ」

「まさか」

「嘘じゃないですって」

「もちろんだ。あのAIを開発できるのは、在真以外にいるはずがない」

「えっ? 信じてくれるんですか!」



当たり前だ。

お前が残したバグを直したのは俺だ。


プログラムには、作った奴の印象が残る。

その印象が在真の物だって、言われるまで気づかなかった。


ぬかったな。


「しかし、あの開発会社がなぜ、お前みたいな伝説のプログラマーを失うことになったんだ?」


まだ、その頃は俺はあの会社に入ってなかったからな。

どうも事情が分からない。

そういえばあの会社では、伝説のプログラマーと呼ばれていて在真って名前は出てなかったしな。


「当時の同僚が僕の手柄を盗んだんです」


分かったぞ。

きっと、あいつだな。


「そいつの名前を知っているぞ」

「ええっ。なんでですか?」


あいつが手柄泥棒をしたのは俺だけじゃないようだな。

その結果が伝説のプログラマーを失うことになったのか。


最近のあの会社の話をしたら、在真は驚いていた。

なんという、縁がある話なのだろう。


もちろん、手柄泥棒の結末も話してやった。


「じゃあ、あいつは今、闇金の奴隷ってことですか」


うん、在真も喜んでくれた。

あいつは、なんども手柄泥棒しているんだろう。


あるべき姿だよな。


「で。あの後、僕はAIの未来をずっと追いかけていたんです。その答えがトークン結び、なんですよ」

「そうなのか……おい、ちょっと待て。すると、トークン結びにはAIが搭載されているのか?」

「トークン自体ではなく、AIトークンという形で存在しています。だから、鑑定評価にもAIトークンが使われているんですよ」



なんと。

そんな機能があったのか。


そもそも、トークン結びっていう機能が、どうやって機能しているのか。

俺にしても、理解していないからな、



ブロックチェーンみたいなもの、というから独立型の分散連携システムだとしか理解していない。


インターネットがどうつながっているのか。

自動車がどうして走るのか。


原理を知らなくても使う上では、問題にならない。

何ができるのかが重要なだけだ。


そう。

俺は、トークン結びにAIが搭載されていると知って、あれに応用ができるんじゃないかと思ったのだ。


「それじゃ、トークン結びを使ってマッチングとかできないか?」

「もちろんできますよ。マッチングメーカーって言うトークンがあるんです」

「そんなのもあるのか。それはどんな仕組みなんだ?」


マッチングメーカーという名前のトークンは、いくつかのトークンをAIを利用して結びつける。

たとえば、フットサルのチームなら、決まった日時に参加予定の人をトークンとして情報登録して、そのトークンを比べてチームに必要なメンバーを集めてくる。


そんな仕組みだという。


「もちろん、AIトークンとの繋がりとか、評価の問題とか。いろいろとややこしい仕組みはあるんですが」

「そのあたりは、おいおい聞くとしよう」


原理はこの際、理解する必要はないな。

それよりもマッチングの機能の話だ。


どうも、俺が1憶円を使って開発しようと思っていたフットサルのマッチングAIは、在真によってすでに用意されているようだ。


「もし、それを実装するとしたら、どのくらい開発期間がいるのか?」

「えっと。3日?」


こいつ、とんでもない奴だな。

10人で3カ月かかる予定のAIを3日だと。

開発費1億円予定のAIを3日だと?


「1年後に年収2億円だという評価を取り消すぞ」

「ええーー。なんでですかっ」

「俺の鑑定ミスだ。お前の1年後の価値は、年収100億円だ」

「ええーーーっ。本当ですか」


ただの真珠色のオーラだけでは分からないことがあるからな。


だいたい、こいつのオーラ、輝きが強くなっているじゃないか。


「あぁ。本当だ。在真、嬉しそうだな」

「そりゃ、そうですよ。天才鑑定士の翔太さんにそんな鑑定してもらったら、嬉しいに決まっているじゃないですか?」

「おいおい。鑑定士と言っても骨董品の鑑定士だぞ」

「あれ? 知らないんですか? マスコミでは翔太さんは『なんでもとんでも鑑定士』って呼ばれています。僕とかAIプログラマーのスカウトしたのがバレてますよ」


なんと。

あまりにうるさいから、最近ニュースは見ないことにしたからな。


パパラッチみたいな連中がちょくちょくいるなと感じていたのだがな。


「よし。僕も年収100億円の男って売り出そうかな」

「それは駄目だ」

「なぜですか?」

「この1年は年収200万円の男だからな。ボーナスもなしだ」

「えー、まぁ、そうなんですが。まぁいいです。お金の使い道もないことですし」


本当に年収200万円でいいみたいだな。


「ああ。開発に必要な物はなんでも用意するぞ」

「はい。あ、ひとつだけ。銀座のクラブは楽しいなと思っていて」

「それも俺が連れていくのを待っていろ。ああいうとこにハマると大変だからな」

「はい。もし可能なら、ボーナス代わりに今夜とかどうでしょうか?」


在真でも、そういうのは楽しいらしいな。


「いいぞ。その代わり、3日後にフットサルマッチング実装は決定だぞ」

「はいっ。もちろんです!」


開発費1億円。

特別ボーナスは3千万円。


それがチャラになったんだからな。

いくら銀座の高級クラブでも、そこまでは使えやしないな。


もう2月になったね。

今日から僕は新しいことを始める予定なんだ。


それがブログ。

もっとも、ブログは何度もやっている。


興味があることが出てくると書き始めるんだ。


最近だと2016年の天使の占いブログ、2017年のツインソウルブログ。

と、スピリチュアル系が多い。


2018年は小説を書き始めた頃だから、ブログじゃなくてエッセイを書いていた。

底辺作家が人気小説家になるってテーマでね。

書き始めたときは、まだブクマが二桁だったから、まずは100を目指していた。


で、今回のブログはバリ・スピリチュアル移住。

どこに向かうか分からないから、楽しく書けるばず。


もっとも、最近は後書きがブログ化してきているなーと思っていたんだ。

ブログと後書きの違いはひとつだけ。


ポイント評価ぽちっとしてくださいっ。


これが入るかどうか、だね。

大切なとこだからもう一度書いておこう。


ポイント評価ぽちっとしてくださいね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点]  翔太が最初に見立てた在真の年齢が20代半ば。 今回の話で10年前には既に会社勤めをしてるっぽい。 在真の年齢って何歳なんだろう?
[一言] まさか過去のプログラマー時代に二人にそんなつながりがあったとはw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ