第58話 俺は龍之介とファイナル鑑定バトルをした
「とんでも鑑定団」の鑑定人対決の第3問。
最後の対決が幕を上げた。
これで俺と龍之介のどちらが鑑定人として上か決まることになるな。
「いよいよ、最後の問題になりました。なんと、印象派の巨匠クロード・モネの作品の登場です」
ほう。
クロード・モネか。
アートに興味がない俺でも名前くらいは聞いたことがある画家だ。
たぶん、どこかで絵は見た気がする。
もっとも、美術展かなにかの宣伝だったのだろう。
もちろん、本物の絵は見たことはないのは間違いない。
普通だったら、鑑定などできないけどな。
「それでは鑑定してください」
ベールが取り払われ、ふたつの絵が登場した。
でかいな。
横2mほどあるんじゃないか。
ふたつも並ぶとインパクトが半端ない。
しかし……
「いったい、どういうことだ?」
思わず言葉が出てしまったぞ。
これは、ひっかけ問題ってことなのか。
うん、間違いない。
どっちも贋作だ。
と言っても、俺の鑑定スキルだと全然違う贋作だと分かる。
右は、精密に作られた贋作で、ちゃんとした画家が時間を掛けて作った贋作。
たぶん、100年以上前の物だ。
左は贋作というよりコピーだな。
きっと最新の技術でスキャナーと3Dプリンタを使って精密加工で作られたものだ。
元になったのは、隣にある贋作だ。
だから、右が贋作で、コピーしたのが左ということか。
だけど、どっちも本物じゃないな。
困ったな。
この場合は、正しい回答ってどうなるんだ?
「永島先生と龍之介さんは右側が本物と出ました。翔太さんはどうしたのでしょう。答えません」
本当に困った。
どっちも偽物だから、回答が押せないじゃないか!
「えっと翔太さん、どちらかを押して欲しいのですが……えっ、なんでしょう」
俺は困ってしまって、手を挙げてMCを呼んだ。
そして、MCに俺の鑑定結果を伝えた。
「なんと! 翔太さんの鑑定は両方、偽物だそうです。えっと、そんなことあるんでしょうか。そういうひっかけ問題だということですね」
いや、そんなことはどうでもよくて。
両方偽物という鑑定だから、仕方がない。
しかし、テレビ局というのはそこまで手のこんだことをするのか。
「すべての鑑定が出そろいました。それでは正解を見てみましょう」
ダラララララララーーー。
ディスプレイには右が本物、左が贋作と表示された。
「なんと。永島先生、龍之介さんが正解です!」
「そんなバカな! 左はコピーだけど、右だって贋作じゃないか」
「おおっと。翔太さんから抗議がでました。それでは、説明をしてもらいましょう」
「だいたい右は本物だという証拠はあるのか!」
なんか、むかついたぞ。
俺の鑑定が間違うはずはない。
あの作品は精密だけど偽物だ。
なぜ、そのくらいのことが分からないのか!
「えっと、右側の作品は金沢にある未来美術館よりお借りした本物です。クロード・モネの睡蓮は何枚も描かれた作品ですが、この作品はその中でも傑作と言われる作品です」
「もちろん、あれは本物だ。それを見抜けないようなら鑑定人失格だな。まぁ、骨董品じゃないから分からないということかい。翔太とやら」
龍之介がドヤ顔で話している。
こいつ、話し方もムカつくな。
「確かに、この距離からだと鑑定は難しいですね。左のがコンピュータを利用したコピーだというのは間違いありません」
ん?
永島さん言い方が微妙じゃないか。
龍之介が右が本物と信じ切っているのに対して、永島先生はそうは言い切っていない。
もちろん、左がコピーなのは俺も同じ鑑定だしな。
もしかしたら、俺の主張に賛成しているのか?
「今回の鑑定人対決、優勝は3問とも正解した、龍之介さんに決まりました」
俺のムカつきとは関係なく番組は進行している。
そりゃ、生中継だし、時間内に終わらせるのがMCの仕事だろう。
「それではNO.1鑑定士のカップを授与します。どうぞ」
回答者席から前に出ていく龍之介。
その途中で、俺に向かって捨て台詞を残していく。
「おいお前。負けたんだから、もう偉そうにするなよな。あと、鑑定サイトでちゃんとインチキしていましたと、謝るんだぞ」
なんだ、こいつ。
大した鑑定もできない奴なのに。
ムカつくが、鑑定対決番組では俺の負けということか。
しかし、いかに正しい鑑定をするのが難しいのかが分かった気がするぞ。
これは俺たちの鑑定システムが必要な理由でもあるな。
「こちらが、とんでも鑑定団認定・優勝鑑定人のカップです。おめでとうございます」
うーむ。勝手に番組は進行していくな。。
有名美術館の保証付きか……俺の鑑定では、それには勝てないってことか。
「それでは、これにて鑑定人対決終わりにしたいと……えっ?」
ん?
どうしたのか?
MCが焦りだしたぞ。
何か起きたのかもな。
今日は外壁塗料の話をしましょう。
リフォームで外壁塗料には、色々な種類があります。
まずは、溶剤・弱溶剤・水性という塗料の種類別に分かれます。
次に1液形・2液形というように分かれています。
それぞれの塗料には、匂いと塗膜性能に違いがあります。
匂いに関しては水性・弱溶剤・溶剤の順に強くなります。
塗膜性能も、水性・弱溶剤・溶剤の順に強くなります。
えっ、なんでそんな話を書いているのかって。
そりゃ、あれですよ。
ペイント評価の話でして。
えっ、一文字違うって……あっ、勘違いしちゃったみたい。。。
ペイント評価ですよ、ペイント評価。




